会報誌(DDKだより)
DDK Newsletter
2018年08月発行 第291号 DDKだより
金融・経営相談:民法改正で個人連帯保証人の保護どうなる
Q.私は、10年ほど前知人が経営するある会社の銀行借入金の連帯保証人になりました。その会社は倒産し、連帯保証人である私に対しいまだに保証協会から返済を求められています。現在、会社を経営していますので影響は少なくありません。最近民法改正により個人連帯保証人の保護が強化されると聞きました。今後、どのようになりますか?
今月の相談員
中小企業診断士
中小企業組合士 伊藤 勝
A.連帯保証人の保護を含む新しい民法が、2020年4月1日より、施行されます。
これらの改正の背景には、かつて個人の安易な又は情義に基づいてなされた保証契約があとになって予想外の債務を負担することになったことがあります。その結果、生活や事業破綻に追い込まれるケースが多発し社会問題化したことから、保証人保護に動き出しました。
以下、貸金に対する連帯保証人保護に関する主なものをご紹介します。
1.事業資金借り入れへの個人保証の意思確認
契約締結に先立ち(契約締結前1ヶ月以内)、個人での保証意思がある旨を記載した公正証書を作成することを原則とする。公正証書に保証意思を表示していなければ、契約は無効となります。
2.主債務者による事業資金借入契約締結時の情報提供義務
主債務者には、保証人への会社情報((1)財産及び収支の状況(2)他の債務の有無、額及び履行状況(3)担保提供状況)の提供義務が課されました。そして、「主債務者が情報提供をせず、または事実と異なる情報提供により保証契約等をした場合には、債権者(銀行等)がそのことを知ったときは、保証人は、保証契約を取消すことができる」となりました。
3.債権者(銀行等)による保証人への情報提供義務
契約締結後、債権者は、保証人から請求があった場合は、債務の元本、利息、違約金等全てのものに関して不履行の有無や残額等に関する情報を提供しなければならないと規定。更に、主債務者が期限の利益を失った(失期)場合の債権者による情報提供義務が明記されました。しかし、改正民法では、「主債務者が失期から2カ月以内に、個人である保証人に対し、その旨を通知しなければならない。通知を怠ると、失期から通知までに生じた遅延損害金に係る保証債務の履行を債権者は請求することができない」とされました。
一方で、保証協会は経営に関与しない第三者の連帯保証は原則禁止の運用が大きな流れであり、呪縛から抜け出す交渉を開始する時です。