会報誌(DDKだより)
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2018年09月発行 第292号 DDKだより
巻頭:スマホというミニコン
青木 正
昔、パームなる端末が存在したことを覚えている方も多いと思います。1997年に、手のひらに入るミニコンピューターとしてマスコミで大々的に報じられましたが、いつの間にかその名を耳にすることがなくなりました。
携帯電話としては、1999年のドコモの“iモード”が画期的なものとして評価されましたが、なんといっても2000年のJフォンの“写メール”が一躍世界を席巻しました。
当時、海外の展示会に行った折に、カメラ付携帯で写真撮影をしていると、いつの間にか外国人の黒山の人だかりができ「それは何だ?カメラか?携帯電話か?」と聞かれ、「両方です」と答えると「考えられない、あり得ない、次回私に買って来てくれないか?」と言われることもしばしば。しかし、そうした“ガラケー”の大成功が完全に裏目に出て、逆にスマホの普及を著しく遅らせてしまい、数年前の携帯電話保有者のスマホ率では、アジアの他国に大きく水をあけられる結果になりました。
今から7年前、中国のビジネスパートナーに依頼され、初来日した彼の知人を都内で観光案内した時、その中国人からスマホの凄さを見せられ愕然としました。何と、彼は中国の会社内に設置されている約20台のカメラの映像をスマホで観ながら仕事の指示をしていたのです。彼は私にこう言いました。「スマホを携帯電話と思ったらダメです。これを手のひらに入る“ミニコン”にカメラと電話が付いていると理解したら、こんなに便利なものはありませんよ。僕はほとんどの仕事をこれだけでやってるから、パソコンは週一開けるくらいですね。幹部にも会社契約でこれを持たせてます。」夕食時に聞いてみると、何と彼は従業員千人以上の会社の社長でした。
その衝撃に圧倒され、早速に私も社員全員の会社ガラケーを会社スマホに替えました。国際電話や業務報告は写真付でLINE、WeChat、VPNを使い、日頃の販促活動にはFacebook、Twitter、Instagramを利用しています。
アジアとりわけ中国では、ノートPCが高価で買えなかったことの裏返しで、スマホの急速な普及が始まり、様々な創造的破壊が連鎖反応的に起こり、世界一の人口という国力をバックに、ネットビジネス、SNS、電子マネーによって経済が大いに活性化していると言っても過言ではありません。日本も“ミニコン”を仕事に、経済に、社会に積極的に取り入れて、業務を省力化し、人手不足を克服し、コペルニクス的転回で発想の転換を図ろうではありませんか。