会報誌(DDKだより)

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2018年09月発行 第292号 DDKだより

金融・経営相談:会社の帳簿書類等の保存期間は種類によって年数が異なるが基本は7年!

Q.会社を始めて10年になります。帳簿書類がたまってスペースを取られています。
 いったい何年間取って置かなければならないのでしょうか。スキャンして保存することは可能ですか。

今月の相談員
税理士 平石 共子

A.まず、帳簿書類の保存方法は、紙による保存が原則です。会計ソフトにより作成した帳簿書類については電磁的記録の保存が可能ですが事前に税務署に申請して承認を受ける必要があります。また、帳簿以外の請求書、領収書などはスキャナ保存が可能ですが、これも事前に税務署の承認が必要です。一定の要件を満たさなければならず、中小企業においてはほとんどが「紙による保存」となっています。
 さて、では何年間帳簿書類の保存義務があるかというと、法人税法では、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存することを規定しています。
 例えば、本年3月決算の場合は5月31日が申告期限となるので、2025年5月31日まで保存が必要となります。
 保存する帳簿書類とは、以下の通りです。
帳簿とは・・・
総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳など
書類とは・・・
棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、請求書、領収書、
預金通帳、借入証、小切手、手形控、振込通知書など
従業員に関する申告書・台帳・・・
給与所得者の扶養控除等申告書、退職所得の受給に関する申告書、賃金台帳、源泉徴収簿、給与明細など
労働基準法では3年保存(※)とされていても、「源泉徴収簿、扶養・保険・配偶者特別控除に関わる書類」は7年保存となります。
 ただし、原則は7年ですが、平成23年12月税制改正により平成20年4月1日後に終了した欠損金の生じた事業年度においては、9年間に延長となり、平成27年度、28年度税制改正により、平成30年4月1日以後に開始する欠損金の生ずる事業年度は、10年間に延長となります。
 税務調査では3年間が対象となることがほとんどですが、保存義務は順守する必要があるでしょう。調査が終了したからといって保存しなくてもいいとは言えません。
 また、決算書、申告書は会社の成績表でもあり、数字の面での歴史となるものです。できる限り保存することをお勧めします。

※労働基準法第109条