会報誌(DDKだより)

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2019年01月発行 第296号 DDKだより

年金相談:退職後の傷病手当金と老齢年金の支給調整について

Q.内臓疾患により入院し、1月末日退職予定です。現在67歳で老齢年金を受給し、傷病手当金も受給しています。退職後も引き続き傷病手当金は受給できますか?

今月の相談員
特定社会保険労務士 服部 雅恵

A.健康保険の被保険者が業務外の病気やけがで労務不能のため会社を休み、その間に給与の支払いがない場合、傷病手当金が受けられます。要件に該当すれば、支給開始日から1年6か月を限度とし、支払われます。
 退職後も引き続き傷病手当金を受給するには、退職時に傷病手当金を受給中(または要件に該当)で、支給開始日から1年6か月の期間が満了するまでの間、その病気やけがの療養のために働けなければ受けられます。
 ただし、ご質問者のように老齢年金等をすでに受給中の方や、退職後に老齢年金等を受給することになると、傷病手当金は打ち切られます。これは労務不能期間中の所得を保障する目的で傷病手当金が支給されるからです。
 在職中は保険料を納付しているため、傷病手当金と老齢年金の両方が支給(在職老齢年金により全額支給停止の場合も含む)されますが、退職後は老齢年金等が優先されて支給されることになります。ただし、この場合でも日額に換算して、傷病手当金の支給日額のほうが上回れば、老齢年金等との差額が傷病手当金から支給されます。

例:標準報酬月額30万円、老齢年金等(老齢基礎年金+老齢厚生年金)の合算額180万円の方が退職(資格喪失)した場合
傷病手当金の日額
30万円÷30=10,000円、
支給日額10,000×2/3=6,667円(<1>)
老齢年金の日額 
180万円÷360=5,000円(<2>)
 
 傷病手当金(<1>)>老齢年金(<2>)のため、1日分として6,667-5,000=1,667円が傷病手当金から受けられます。