会報誌(DDKだより)

DDK Newsletter

2019年02月発行 第297号 DDKだより

金融・経営相談:反面調査は拒否はむずかしいが、毅然と必要最小限、短時間で対応

Q.税務署から帳簿を見せてほしいとの電話連絡がありました。取引先に調査が入りその関係でいわゆる反面調査をしたいということのようです。断ることはできますか。

今月の相談員
税理士 平石 共子

A.税務調査には3つの種類があります。一つは、提出した申告に関して必要がある時に質問して調査することができる、いわゆる任意調査で一般的に税務調査といえば、この任意調査のことを指します。次に納税を滞納している者に対する財産調査で、滞納処分のための調査といいます。最後に、脱税の疑いがある場合に裁判所の許可を得て行う犯則事件のための調査で、これは強制調査です。これはまずないと考えていいでしょう。
 では、反面調査は何かというと、税務調査の対象者本人ではなく、その取引先などの関係先に対して実施される税務調査のことです。法律で定められているので拒否はできませんが、任意調査で解明できない場合など、やむを得ない場合に限り実施できるものです。下記の(1)及び(2)は税務署内部で、税務職員に対して示されている方針であり、税務職員は守る義務があります。
 反面調査の連絡が来たら、まず反面調査の理由や調査の対象となる帳簿書類を確認します。また、取引先に反面調査が入っていることを伝えましょう。調査官がむやみに反面調査をしている場合もあります。調査対象者本人が反面調査をすることを納得していない場合には、まずは本人と話してからにしてほしいということは言えます。日程は都合の良い日を言って調整します。
 調査を受ける際は、帳簿書類の提示はなるべく必要な部分に限定して、短時間でやってもらいましょう。調査に協力はしても毅然とした態度が肝要です。


(1)昭和51年4月1日税務運営方針の一部抜粋
「税務調査は、その公益的必要性と納税者の私的利益の保護との衡量において社会通念上相当と認められる範囲内で、納税者の理解と協力を得て行うものであることに照らし、一般の調査においては、事前通知の励行に努め、また、現況調査は必要最低限にとどめ、反面調査は客観的にみてやむを得ないと認められる場合に限って行うこととする。」
(2)平成12年7月個人課税事務提要、平成13年7月法人課税事務提要
「取引先等の反面調査を実施しなければ適正な課税標準を把握することができないと認められる場合に実施する」