会報誌(DDKだより)

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2019年04月発行 第299号 DDKだより

年金相談:60歳台前半の在職老齢年金の仕組み

Q.当社は定年60歳、65歳までの継続雇用制度を設けています。この度、わが社で初めて定年を迎え、継続雇用する女性(昭和34年5月生まれ)がいます。この場合、年金との調整が入ると聞きました。どのような仕組みなのでしょうか。

今月の相談員
特定社会保険労務士 服部 雅恵

A.年金の受給資格期間を満たし、厚生年金の被保険者期間が1年以上ある人は、60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金を受給できます。
 この特別支給の老齢厚生年金は定額部分と報酬比例部分に分かれており、これから60歳を迎える方は報酬比例部分のみが受けられます(男性:昭和36年4月1日、女性:昭和41年4月1日生まれまで)。ただし、その方の生年月日や性別によって、受け始める年齢が変わります。
 ご質問の女性の方は61歳から報酬比例部分の老齢厚生年金を受けられます。61歳までの1年間は年金が支給されません。給与との調整が入るのは、厚生年金保険の被保険者であって、年金の月額(=基本月額、加給年金を除く)と総報酬月額相当額の合計が28万円を超える場合です。総報酬月額相当額とは、社会保険料の計算のもとになるその月の標準報酬月額とその月以前1年間の標準賞与額の総額を12で割った額の合計額です。総報酬月額相当額が47万円以下か超えるかで計算式が異なります(下表参照)。47万円というのは平成31年度の基準額で毎年度金額が改定されることになっています。
 年金額が60万円、定年後の給与26万円で試算してみます。
 基本月額=60万円÷12=5万円、 総報酬月額相当額26万円で表の(2)に該当。
(26万+5万-28万)÷2=15,000円
が年金月額から支給停止されます。
 賞与が年間60万円支給される場合はどうでしょうか。総報酬月額相当額に60万円÷12=5万円がプラスされます。計算式は同じ(2)で、
(31万+5万-28万)÷2=40,000円
が支給停止されることになります。
 給与と年金の調整を考慮する際には、その月以前1年間の賞与の12分の1の額が含まれることにご注意ください。


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