会報誌(DDKだより)

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2019年06月発行 第301号 DDKだより

巻頭:コンビニにおにぎりがなくなる日


中村 伸一

 1990年 12月1日、貨物輸送の規制緩和の一環で、貨物自動車運送事業法は、トラック事業規制を道路運送法から独立させ、免許制を許可制に切換えました。その結果、当時4万1千あまりの事業者が増え続け、現在は6万2千の事業者数です。
 国内貨物の輸送量は約43億トンで、そのうち90%をトラック輸送が担っています。営業用貨物事業者に限れば、その規模は10台以下が全体の50%以上です。
 現在、就労者数は188万人で、運転者は83万人。大型ドライバーの平均年齢は47.8歳。10代、20代のドライバーの割合は27%と激減(2017年)。その反動で60代が増加しています。これは大型ドライバーに限られたことではなく、全体にドライバーの高齢化が急速に進んでいます。
 年間所得額は全産業と比べ大型ドライバーで約1割、中小型で約2割低い。逆に年間労働時間は全産業に比較して大型ドライバーで468時間(月間39時間)、中小型で456時間(月間38時間)と長時間労働。これでは、若年ドライバーが増加するわけがなく、ドライバー不足は深刻な状態です。今や、やむを得ず仕事を断る事業者も発生しています。
 数年前、宅配便のドライバーが荷物を投げ飛ばす動画が報道されました。また、再配達や過剰な時間指定サービスなどが問題となり、ドライバー不足が大きく取り上げられるようになりました。その結果、ここ数年宅配便関係の運賃値上げが続き、一般貨物分野でも労働条件改善等が一定程度進んでいますが、人手不足解消には至っていません。
 首都圏では大雪の後や、東日本大震災の時など、コンビニに商品がなくなった経験もあります。このままトラックドライバー不足が続けば、同じ状況が来る恐れもあります。
 いつも当たり前のコンビニにおにぎりがこなくなるかもしれない。物流業界だけでなく、消費者の便利さを減らす協力も必要だ。何とか改善できないものか。