会報誌(DDKだより)

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2019年06月発行 第301号 DDKだより

金融・経営相談:適切な事業成績を把握するための月次決算のポイント

Q.毎月の試算表の損益の数字がしっくりきません。利益をつかむには月次決算が有効と聞きました。具体的にどうやればいいのか教えてください。

今月の相談員
税理士 平石 共子

A.会社あるいは個人事業であっても、一般的には1年間を単位として決算を組みます。
 これは、税務申告のため、金融機関への提出、株主への報告など目的は様々ですが、もう一つ重要なのは自分のところの経営成績はどうだったのか、数字でつかむことです。
 月次決算は、毎月決算をするということですが、あまり時間を掛けないでポイントをつかめば、ある程度正確な利益を把握することができます。
 ポイントは、(1)売上に対する原価をつかむ、(2)は1年に数回支出するような経費を月割にする、の2つです。
 (1)の原価をつかむには、卸売、小売、建設業、製造業は、常に売上のための原価は先行するので、まだ売上になっていない場合には、仕入れや外注費、労務費は原価から差引きます。これを棚卸と言っていますね。材料、商品、製品などは在庫として、建設や製造では途中まで作業が進んでいる場合には仕掛品として棚卸をします。ここでのポイントは、棚卸金額をどう計算するかです。いわゆる実棚、実際に数えるのは毎月大変、仕掛を拾うのも大変。このような場合は、過去数年の粗利益率や売上の種類ごとの粗利益率をもとに計算在庫で行います。
 (2)の経費の月割りは、減価償却費、年2回の賞与の合計額、年3回の労働保険料が代表的な経費です。事業によっては年1回のカタログの作成などの広告宣伝費、採用のための雇用促進費などを予算化して毎月概算計上することも考えられます。
 月次決算は自分の会社のためにやるので、あまり形式にとらわれることはありません。
 ただし、年の途中でも借入のために金融機関に提出を求められることもあるので、説明ができるように勘定科目をわかりやすくしておくなどの工夫が必要です。いずれにしても、まずはやってみることです。