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会報誌(DDKだより)

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2019年08月発行 第303号 DDKだより


人事労務相談:届出も公開もしていない就業規則の効力は

Q.当社の就業規則は、大手取引先の例を見本に作ったもので、水準が高く、社員にも見せたことがありません。結果的に机の引出にしまうことになり、実際にこの規則は使っていません。この就業規則でも法的に有効なのでしょうか。ちなみに社員は10人未満です。

今月の相談員
経営コンサルタント
社会保険労務士 石田 仁

A.就業規則は存在するけれども、全く社員には周知されていない。実務的には、社員の労働条件は口頭や、簡易な労働契約書でその都度決めている。おそらく、就業規則に掲げた労働条件は実際に社員に適用されている労働条件よりも高いはずです。とくに、退職金などは、就業規則が適用されてしまうと会社の支払能力を超えてしまう事情があるのでしょう。
 ところで、就業規則の作成や改定には、社員代表の意見を聴き、労働基準監督署長に届け出て、これを社員がいつでも見られる状態(周知)にしておかないと、罰金に処せられることになっています。その意味で就業規則は、会社の内規ではなく、法律と同様の効力です。有効性の要件について、見解は分かれますが、判例では、社員代表の意見聴取や労働基準監督署長への届出を欠いても概ね就業規則の効力は有効と考えています。しかし、周知されていない就業規則の効力については否定する傾向です(最判平15.10.10)。
 ご質問の就業規則は、意見聴取、届出、周知もされておらず、運用もしていないのですから、その意味では未だ作成されていないのと同じことです。したがって、手順としては、これを事実上破棄し、他社の真似でなく、貴社の規模で確実に実践できる就業規則を作ることです(就業規則に準ずるものとして労働基準法 第32条の2,第32の3)。これを法的に有効なものにするために、(1)必要事項を充たした就業規則の作成、(2)これに対する社員代表(会社の指名は不可)からの意見聴取、(3)監督官庁への届け出(義務ではない)、(4)社員への周知(書面の交付、原則見やすい場所へ掲示し又は備え付けること等が求められている)義務を怠ってはならないということです(労働基準法 第89,90,106条)。
 他方、貴社は、社員が10人未満なので、作成義務はありません。特段、新しい就業規則は作成せず(現存の規則は要件を欠いているので事実上破棄)、現行どおり、社員各人と個別に労働契約を締結(必要事項を充たすこと)し、不利益にならないよう、契約遵守に努めることになります。いずれにしても、法令に違反しない実行可能な労働条件にすることが肝要です。
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