会報誌(DDKだより)
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2020年01月発行 第308号 DDKだより
巻頭:5Sの魔法
椎名 敬一
令和初のお正月を迎えました。昨年の台風で被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復興をお祈り申し上げます。
私どもは医療用キャビネットの専業メーカーです。社員の年齢は20歳から75歳まで幅広く、育ちも学歴も職歴も様々。障がいのある社員もいて、多様な人間16人の集団です。紆余曲折のうちに独特の一体感を得てきました。まとまるきっかけの一つが6年前に始めた「5S活動」です。
現在もコツコツと続けていますが、そのスタートはドラマチックでした。まずは世にいう断捨離から。工場内で不要と判断し廃棄したものは3トンにもなりました。さらに自らの手で、工場に溜まった41年分の塵や埃を真っ黒になって除去。傷んだ床は補修材で平らにして緑に塗装。通路を黄色に引き仕上げました。玄関ホールは天井・壁・ドアを塗装、床を磨いてタイルカーペットを敷き詰め、製品展示の打合せコーナーにリフォーム。事務部門も、毎日1時間床と壁を汗だくで磨きあげ、茶色だと思っていた壁が優しいアイボリー色になったときには、皆で驚きました。
全て自分たちの手で、お金を掛けずに社屋を生まれ変わらせた経験は大きなものでした。一気に社員の連帯感が高まり、内装業者が驚く出来栄えに自信が生まれてきました。
また、開始以来継続している朝の10分間清掃も大切な時間です。毎朝、全員ラジオ体操後に9か所に分けた社屋内外を、2週間のローテーションで清掃。複数名で行なう場所のメンバーはランダムに決めます。一緒に作業をすれば、会話の機会も生まれ、お互いの人となりも解ってきます。それまで外部に委託していた清掃を自分たちの手に戻し、皆で磨き続けることで、会社の建物が息を吹き返し、社員と会社の一体感が生まれてきました。社屋だけでなく、この地で仕事ができる感謝を込めて周囲も掃除をしています。
先日、制服を着て出かけた先で、見知らぬ方から、「タイホーさんは、いつもきれいにしてらっしゃいますね。」と声をかけられ、とてもうれしく、社員を誇らしく思いました。
今年も社長として会社磨きの旗を振りつつ、凸凹社員たちが思いもよらぬ力を発揮して、それぞれの個性を磨き輝かせてくれることを期待しています。