会報誌(DDKだより)
DDK Newsletter
1999年04月発行 第59号 DDKだより
巻頭言:協同組合の今日的役割
相談役 河野 先(株)第一経理 会長
全国中小企業家同友会全国協議会幹事長
戦後の日本経済で協同組合がどの様に組織されたか詳論できないが、中小企業等協同組合法が施行された昭和24(1949)年7月以降、数多くの同業者団体が設立されてきたものと思われる。
戦後の産業構造で大企業を補完し、支えてきた中小企業群は、現在構造調整のうねりのなかで、新たな拠りどころを求めており、既存の協同組合の多くは存在理由を問われている。
規制緩和の波とルールなき競争の渦のなかで、方向性が定まらず、閉塞感が強まっている今日の日本であるが、あるべき社会・経済システムを模索する動きも起こっている。
共生に価値をおく社会的経済、その中軸としての協同組合が注目されているようだ。
世界の協同組合陣営は、持続可能な人類の発展を具体化するため、1995年に「協同組合のアイデンティティに関する声明」のなかで協同組合原則を21世紀にふさわしい形に改訂し、行動をはじめている。
宮崎県民生協は、組合員の声をシステム化した「よくするカード&よかったよカード」の双方向コミュニケーションにもとづく事業活動を展開し、組合員の意見や要望を事業に反映させ、新たな市場を掘り起こしていく仕組みを編み出している。
協同組合は誰のために、何のためにあるのか、協同組合理念と原点にたちかえる時かもしれない。
環境変化を先取りし、絶えざる自己革新で事業を再構築し、異業種の多様なネットワークで経営資源の不足を補い、新しいものを創造出来るように出来たらと思っている。
組合員の必要とする事業を行いながら、同時に経営努力が報われる環境づくりを運動としてすすめ、組合員一人ひとりの自主的、自立的な発展に寄与できることこそが最大の喜びだ。
21世紀を中小企業の時代にするため人任せでなく、自覚的な参加を期待したい。