会報誌(DDKだより)

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2020年07月発行 第314号 DDKだより

巻頭:コロナ禍の中で


椎名 敬一

 休日の早朝は日ごろの運動不足を少しでも補おうと、近所の川沿いをウォーキングするのが楽しみです。目を引くものがあれば立止り、寄り道をしながらの散策を楽しんでいます。
 一羽の白鷺が抜足差足、首を縮め川面を見つめています。何か獲物を狙っているようです。思わずこちらが息をのんで見入っていると、縮めた首を素早く伸ばし、嘴を川面に突っ込んだ瞬間、とても食えんだろうと思える大きさの魚を捕らえました。器用に獲物を縦にして飲み込みます。細いのどは太く膨らみ獲物は胃袋の方へ徐々に落ちていきます。東京都内なのですが、多数の湧水点を水源とし澄んだ豊富な水には、アブラハヤ、オイカワ、カワムツ、エビ、さらに絶滅危惧種に指定されているホトケドジョウが生息し、自然を取り戻した貴重な場所となっています。
 人気の無い橋で欄干にもたれかかり休憩。川面を抜けてくる涼風はなんとも爽やかです。ウグイスの声が私を癒してくれます。声の方角に目を凝らすと一番高い木のてっぺんで尾を縦に揺らしながら鳴いています。ここに来るとよくウグイスの声を耳にするのですが、いつ探しても見つからず、今日初めて会うことができました。その声が「法 法華経!」と、ふと日蓮宗の御題目に聞こえて、おや?と、ニンマリ。澄みきった空気にウグイスの歌声は響き渡り、ゆったりとした幸せに浸らせてくれます。
 幸せな気分で帰宅し、念入りに手を洗い、うがいをし、顔を洗い、テレビのスイッチを入れると否応なく現実の世界に引き戻されます。ドタバタする政府の茶番劇。それを非難するコメンテーター。各々が、各々の立場で言いっ放しの専門家たち。それを聞きながら「これからどう手を打って行こう?」「不安に思っているであろう社員達にどう声がけしていこうか?」「何か更に打てる手はないのか?」自問自答を繰り返しています。
 今、世界中の多くの人々が同じような状況下にいます。ある高僧から「何事も逆に来ても順(素直)に受けて、智慧の眼を開け、先を明るく見よ。苦難に執われると悪魔が侵入する。信の心を剛くせよ。」と、教えを頂きました。判断に迷うことばかりですが、はっきりと前を見て一歩ずつ歩みを進めています。「がんばるぞ!」「がんばるよ!」「がんばるね!」と、声をかけ合いながら社員とスクラムを組み、仕事をしています。