会報誌(DDKだより)

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2020年08月発行 第315号 DDKだより

巻頭:もっと国民に寄り添う


沼田 道孝

 新型コロナの施策で浮き彫りになったのは政府の姿勢です。政府や行政の対応が、国民目線になっているのかが、問われました。今回、最も早く対応したのが、融資分野でした。売上5%、20%減等の条件で、借り換えも可能、無担保、無利息、返済猶予期間有りと借りやすい状況を作り出したので企業が殺到しました。他方、持続化給付金、家賃支援給付金、固定資産税の軽減等は本予算ではなく、すべて補正予算での計上であり、対応の遅れを作り出した。さらに前年度同期比の売上が50%減、30%減など事業存続ができない厳しい状況を要件にして事業者の困難さを考慮していない。
 深刻な事態になっていた3月の時点で、本予算に組み込まれず、補正予算の成立も4月に繰りこしました。中小企業の現状や、国民一人一人の生活、ひとり親家庭、障碍者家庭等、コロナ禍での生活実態を知らない想像力のなさ、政治家の資質が問われています。雇用調整助成金の煩雑さ、特別定額給付金の遅滞、持続化給付金の中抜け受注を巡るドタバタ、PCR検査の実態やアベノマスクの醜態等、政治と政府官僚の姿勢が問題です。
 背景には、国民は管理するものととらえ、国民を個人として尊重し、幸せに生きることを支援する民主主義の視点が欠けているのが見えてきます。また、一方でコロナ禍では、国民として医療や福祉等の行政や政治への自覚や意識の醸成がいろいろな意味で問われてきます。
 あまりにも支給が遅かったり、要件が煩雑すぎる各種給付金や助成金は、マスコミや様々な市民の運動、国会での論戦の中で次々と問題点が指摘され、日々改善されていく経験を目の当たりにしました。これらの私たちの経験が国民の声を聴く政治へと変える重要な鍵であることは明らかです。
 コロナ禍、私たち国民が、政府や行政の目線を国民目線へと変えさせる機会が生まれているのではないでしょうか。