会報誌(DDKだより)

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2020年08月発行 第315号 DDKだより

金融・経営相談:新型コロナで新たに設けられた納税の特例猶予制度とは

Q.消費税の納税額が、税率が10%に増税となったこと、新型コロナの影響で売上が下がったこともあり、一度に支払うことができません。新型コロナで新しい納税猶予制度ができたと聞きましたが、具体的にはどのような制度でしょうか。

今月の相談員
税理士 平石 共子

A.納税の猶予制度には、今までも、(1)換価の猶予と(2)納税の猶予という2つの制度があります。基本的には分割で納税するもので、分割計画をたてて申請します。
 これに対して、今回の特例制度は1年間の納税の猶予であり、しかも延滞税がかかりません。担保の提供も不要です。申請書も2枚といたってシンプルです。
 期間は、令和2年2月1日から令和3年2月1日に納税の期限が来る国税となっています。
 適用要件は、次の2つです。
(1)新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年2月以降の月の売上高が前年同月と比較して、おおむね20%以上減少していること
(2)国税を一時に納付することが困難な場合
 
 売上高が20%以上減少しているかどうかは、数字で明確にわかります。しかし、一時に納付することが困難かどうかについては、どのように判定するかというと、6か月分の運転資金で判定します。
 具体的には、例えば4月、5月、6月の3か月分で判定する場合、試算表から各月の売上原価(製造原価)、販売費及び一般管理費、借入金返済額を支出額として申請書に記入して、3か月の平均支出額を計算します。
 当面の運転資金(支出額の平均額の6か月分)+臨時的な支出があれば概算額を当面の支出見込み額として、申請時の現金・預金残高のほうが少なければ、一時に納付することは困難と判定します。
 平均支出額が月1000万円とすると6000万円を支出見込み額と計算して、現金・預金の残高のほうが少なければ、納付困難と判定するということです。
 猶予期間は1年間ですが、途中で納税ができるようになったら、分割納付もできます。
 また、地方税も同様の制度を設けているので、法人住民税や法人事業税、固定資産税も1年間の納税の猶予の申請ができます。