会報誌(DDKだより)

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2020年09月発行 第316号 DDKだより

巻頭:デジタル化を急げ!


河原 八洋

 当社の経営理念に、地域社会に貢献する。という一文が有り、創業時より歩道清掃などいろいろとやってきた。5年前より新たに加えたのが「子供食堂への支援」だ。きっかけは日本の貧困率の高さで、OECD  加盟国(当時)34ヶ国中24番に驚いたからだ。最近の報告ではさらに順位を上げて27番に成っている。子供の貧困対策が他国に比べて遅れている事は恥かしい事だ。一方日経新聞によれば、コロナ禍の現在コロナ情報の収集、開示、データー処理に手際が悪く日本の競争力は世界63ヶ国中23番目で、トップとは程遠い『データー貧困国』に陥っている。東京都の感染者数発表を見ていても、前日分をFAXで寄せ集めて翌日午後に発表している。指摘の多い『PCR』検査目標にしても、米国は1日29万件、ドイツ20万件、英国、仏国10万件、日本2万件である。普段なじみの浅い保健所を中心に添えているのでこれ以上は無理なのだ。仏ではさらに進んで、ソルボンヌ大学と合同で下水からウイルスの遺伝物を調べて、1週間後に感染者が増える地域の割り出に挑戦している。
 米国オクラホマ州では4月に感染者の急増に伴い失業保険の申請が殺到して州の窓口はパンクしかけたが、5月中旬までに累計700億円超の給付の手続きを終えた。しかしこの先自力では無理と考え、グーグルに協力を求めて、申請データーの処理を任せると、1週間の処理件数が6万件と州の30倍で進み、通常2年掛かる仕事が数日で出来たとの事である。
 また本紙8月号に沼田理事が「雇用調整助成金申請の煩雑さ」を書かれている。これに似た制度として米国では、「従業員の給与支払いを政府が肩代わりする制度」を利用して4月初旬に受付を始め、4日間で4兆円分が利用された。英国でも休業者に賃金の80%を支給する新制度を整え6月7日までに890万人に2兆7千億円支給した。日本の「雇用調整助成金」は6月5日時点で326億円しか使われていない。日経新聞は『ガラパゴス行政』と書いている。目的と効果を考えて頂きたい。  
 政府はこれまで各種手続きのオンライン化を進めてきたが、国・地方の行政手続きの内、オンライン申請で対応したのは12%に留まっている。100%デジタル化出来て初めて「利便性向上」と言えるのである。コロナ禍を改革のチャンスと考え、今年世界一に返り咲いた「富岳」を活用してでもデジタル化を加速しなければ、『データー貧困国』からの脱出は計れない。