会報誌(DDKだより)
DDK Newsletter
2020年09月発行 第316号 DDKだより
金融・経営相談:新型コロナウイルス感染症による資金繰り対策は―拡充された国の支援策の活用―
Q.飲食店向けの食材卸業を永年経営、従業員10名。昨年設備投資により借入金増大、新型コロナの影響で飲食店向けの売り上げ大幅減少(昨年比50%以上の減少)したことにより、既存借入金の返済負担や固定費等過重負担で資金繰り窮迫。この窮地を乗りきるための対策は?今月の相談員
中小企業診断士
中小企業組合士 伊藤 勝
A.コロナ感染症の終息には、まだまだ時間がかかりそうですが、貴社は業種的にも将来復活し存続可能です。コロナ感染症に伴う国の諸施策(「持続化給付金」、「雇用調整助成金」等)を最大限活用した上で、現時点で肝心なことは資金繰り対策です。今、国の資金繰り支援策が拡充されていますので、この活用により難関を突破しましょう。その際、業績回復までの間、返済負担の軽減に寄与する借入金対策が肝心です。以下の支援策を精査され、活用をお勧めします。
(1)新規借り入れの検討
ポイントは、実質無利子、無担保、元金返済5年間以内据置の特別貸付を利用することです。政府系金融機関も民間金融機関も特別貸付等を用意しています。
<1>日本政策金融公庫は、新型コロナウイルス感染症特別貸付
【資金使途(貸付期間)】運転資金(15年以内)、設備資金(20年以内)
【担保】無担保
【融資限度額】最高6億円
【元金据置期間】5年以内
【金利】借入後、当初3年間は実質無利子、4年目以降基準金利。但し、2億円が上限。
【特例】既往債務の借換可能(限度額6億円)
【保証人】代表者以外の連帯保証人は原則不要。
<2>商工組合中央金庫は、危機対応融資
前記の日本政策金融公庫と基本的には同一条件ですが、既往債務の借換は「過去の危機対応融資に限定」されます。詳しくは、今年5月掲載のDDKだより(金融相談)をご参照ください。
<3>民間金融機関の場合は、都道府県の制度融資活用で実質無利子・無担保融資
【融資上限】4,000万円
【融資期間】10年以内
【元金据置期間】最大5年
【担保】無担保
【金利】利子補助により、3年間実質無利子
【特例】信用保証付き既往債務も、制度融資を活用した実質無利子融資への借換が可能です。
◇セーフティネット保証又は危機関連保証を利用すれば、信用保証料・利子の減免が受けられます。
(2)これ以上、借入金残高を増やしたくない場合
既存債務の返済条件緩和を申込み、元金返済の据え置きを要請しましょう。