会報誌(DDKだより)

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2020年10月発行 第317号 DDKだより

人事労務相談:届出のない自宅残業について

Q.機械販売業ですが、営業職は外回り中心です。出退勤はタイムカードや本人の申告で確認しています。時間外は定額の時間外手当を支給し、超えた部分や深夜・休日出勤については事前に申告し、上司の承認を経て支給しています。今般、突然、休日に自宅で仕事をしたとの理由で休日出勤手当を申請してきました。どうしたらいいでしょうか。        

今月の相談員
経営コンサルタント
社会保険労務士 石田 仁

A.時間外労働は、原則禁止です。36協定を締結し監督署に届出がある場合に限って認められる労働です。ただし、原則1ヵ月45時間、1年360時間以内。特別な場合に、1ヵ月45時間を超えられるのは年6回までで、100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間以内(休日労働含む)、1年720時間以内という上限規制があります。外回りの営業職の社員にも上限規制は適用されます。
 会社が事前事後に指示した場合に限って時間外あるいは深夜・休日勤務を認めることがあると考えるべきです。会社とは、上司や管理者、責任者のことを指しています。
 まず、事案のように上司の知らない間に勝手に時間外労働をし、勝手に届出を出してくるようなケースを貴社就業規則はどのように規定しているか確認します。一般には、「やむを得ない緊急の業務などで、上司の指示・承認を得ることができなかったときは、翌日必ず届出て承認を得ること。指示又は承認に基づかない時間外及び休日勤務は労働時間として算定しません」等を規定しています。当然の規定です。このルールでは、届出のない自宅での休日勤務を認めなくても問題なしと言えます。しかし、実態をつぶさにみると「日常的に本人から自宅残業の要請があり、これを会社側が黙認していたとみなされる事実」、例えば業務報告書に常に自宅の時間外勤務の事実を克明に記載してあるにもかかわらず、それにつき、確認し改善指導もまるでなく漫然と申告通りの時間外手当を支給していた実態があれば、黙示の指示があったとみなされ、時間外手当の支給が必要です。今回が初めてのことならば、本人の事情も確認した上で、やむを得ない事情があったかどうか確認し、支給・不支給を決めることになります。今後は、営業職等の直行直帰社員の業務量が適切なのかどうかも十分検討する必要があります。いずれにしても、休日に、自宅でやむを得ず業務をせざるを得ないこともあります。その際の決め手は、事前事後に必ず、上司の許可を得る原則を徹底することです。