会報誌(DDKだより)

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2020年12月発行 第319号 DDKだより

金融・経営相談:2020年の年末調整の書類が去年と違う!改正のポイントを押さえておきましょう!

Q.今年の年末調整は、3つある書類のうち1つが大きくタイトルが変わり内容も変更になっているようです。何が変わったのでしょうか。ポイントを教えてください。

今月の相談員
税理士 平石 共子

A.そもそも年末調整とは、年間給与の合計額をもとに所得税の計算をして、毎月の源泉所得税の方が多ければ税金は還付、つまり戻る、不足があれば追加で徴収される仕組みです。この調整をだれがやるかというと給与の支払者である会社(個人の場合もある)が行っています。
 年末調整の書類は、会社が本人に記入してもらい、本人の申告に基づき計算します。
 年末調整の書類は、去年は(1)給与所得者の扶養控除等申告書、(2)給与所得者の保険料控除申告書、(3)給与所得者の配偶者控除等申告書、しかし、この(3)が、今年は、「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」に変わっています。
 (3)の新様式では、基礎控除、配偶者控除、所得金額調整控除の3項目を申請できるように作られています。
◆基礎控除は、誰もが所得から引くことができ、昨年までは控除額は38万円。しかし、今年から合計所得金額2400万円以下は48万円に引上げられました。そのため、自分の年間所得金額を見積もって記入する欄ができました。給与以外の所得も記入しますが、いずれにしても合計で2400万円以下であれば、48万円が適用になります。
 ちなみに、2400万円超2450万円以下は32万円、2450万円超2500万円以下は16万円、2500万円超の場合基礎控除はゼロです。
◆配偶者控除の所得要件が38万円から48万円に引き上げられました。ただし、パートなどの給与については、給与所得控除が10万円引き下げられ、プラマイ0なので、103万円のカベに変わりありません。
 配偶者控除、配偶者特別控除も、本人の基礎控除の区分によって控除額が変わりますが、基礎控除48万円の場合は、配偶者控除38万円、配偶者特別控除は配偶者の所得に応じて3万円から38万円の5万円刻みで控除が受けられます。
◆新たに所得金額調整控除が創設されました。給与所得控除の引下げ、基礎控除の引上げにより、年収850万円以下の場合はプラマイ0です。ところが、850万円超の場合は実質増税となってしまいます。そもそも高所得者層に増税となる改正ですが、その中で子育てや介護に対する配慮をして調整するという趣旨です。
 要件は、給与収入が850万円超で、本人、配偶者、あるいは扶養親族に特別障害者がいる場合、扶養親族が23歳未満である場合です。

 複雑に見える改正ですが、基礎控除は2400万円以下であれば48万円、配偶者控除、配偶者特別控除も基礎控除48万円の場合で、パート収入だけなら従来と同じ、所得金額調整控除は、要件に該当しなければ記入なしとなります。