会報誌(DDKだより)

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2021年05月発行 第324号 DDKだより

巻頭:レジ袋有料化・禁止から見えてくるもの


石田 仁

 昨年の10月、菅総理は所信で「2050年温暖化ガス排出ゼロ」を宣言し、内外にその「決意」を表明。GoToトラベルを続け、感染がまん延していたので、唐突な印象を受けました。21世紀末までの世界の平均気温上昇を産業革命前に比べ1.5℃(当初は2℃が目標)引き下げると合意したパリ協定の30年目標値が13年比較で26%減。欧州連合は、90年比で55%。他の先進諸国に比べ低く、50年ゼロ目標は絵にかいた餅と一部で揶揄されています。ついでに、ガソリン自動車も30年半ばにゼロにすると主張したので、トヨタの社長が怒った。問題は30年目標をどうクリアするかであり、目先を変え国際合意を先延ばしすることではない。ようやく4月、米国主催の気候変動サミットで低すぎる30年目標値が46%減に変更された。
 日本で排出されるプラスチック廃棄物は891万トン(2018年)、そのうち燃やして発電等に使うのが59%。再生されるプラゴミは輸出が10%、倉庫内滞留5%で国内リサイクルはたった9%。
 日本は、プラゴミを圧倒的に燃やし、二酸化炭素を排出し続けています。中国には断られてしまったが、それまでは外国にプラゴミを輸出していました。リサイクルはほとんどせずに。環境大臣が国際会議で火力発電をベース電源と発言し世界から嘲笑されたのを思い出します。「2050年温暖化ガス排出ゼロ」の響きはいい。だが、国として、本当にやる気をみせないと、ますます、パリ協定への目標到達が遅れる。先進国でも有数の二酸化炭素排出国であり、排出の多い農作物や製品をたくさん買っている国です。それだけ責任は大きく、温暖化を食い止める覚悟がいる。
 他方、昨年7月から全国で、レジ袋有料化が実施されています。不便だと批判されていましたが、多くの人が携帯バック等を持参し、対応しています。最近、環境省は、8割以上の人がレジ袋を辞退し、流通量が35%減ったと報告。とくにコンビニでの辞退率は23%から75%になったと言う。昨年、紹介しましたが、亀岡市は、条例で1月からレジ袋を禁止しています。代わりに、紙袋等は有料でOK。従来のプラスチックレジ袋は有料でも提供禁止です。国の基準より厳しい。有償の紙袋に変えるだけではゴミの量は減らず、プラレジそのものの提供を禁止することでエコバックを使用し、「使い捨て」のライフスタイルを変えて欲しいからだ。年間300万人を超す観光客がやってくるのは、保津川や保津峡の素晴らしい景観のおかげです。既に、エコバック使用率が90%を超えています。
 スーパー等でレジ袋提供を有料化や禁止するだけではなく、プラスチック生産を規制しないと問題は解決しない。プラレジの廃棄物は全体の2%と少量です。それでも、国は、地に足が着いた亀岡市の有言実行こそを見習うべきである。