会報誌(DDKだより)
DDK Newsletter
1999年05月発行 第60号 DDKだより
経営相談:新事業創出促進法とは
Q. 「新事業創出促進法」という法律が新たに制定されたと聞きました。その内容を知りたいのですが。--------------------------------------------------------------------------------
今月の相談員
渡辺 正幸
(株)第一経理コンサルタンツグループ
経営コンサルタント
中小企業診断士
A. ご質問にある法律は昨年11月の緊急経済対策の一つとして、創業支援・ベンチャー支援のために12月に制定され、この 2月に施行されました。
この法律は、大きく三つの柱からなっています。その一つは「創業支援」です。その二つは、「中小企業の新技術を利用した事業活動の支援」です。この部分が新聞紙上で「日本版SBIR」(アメリカの Small Business Inovation Reserchという制度の頭文字)として大々的に報道された部分です。三つ目は、都道府県における「地域産業資源を活用した事業環境の整備への支援」です。
ここでは、中小企業に直接的に関係してくると思われる「創業支援」と「日本版SBIR」についてふれておきたいと思います。
〈創業支援〉
まず「創業支援」ですが、これは「新たなるアイデアの具体的事業化に挑む創業者やベンチャー予備軍の試作開発、販路開拓等に対し、中小企業事業団が直接に助成する」(100~500万円、年間1,000件程度)ことを最大の特徴とするといっていいでしょう。つまり、これまではこうした施策を利用するためには所轄の役所の認定を受けるのが一般的だったわけですが、この法律は、事業アイデアのある人なり、企業が直接中小企業事業団に申込むことによって法律の趣旨に沿った展開を円滑に進めようとしていることです。そして、個人の脱サラ創業か既存企業の分社化かを問わず創業全般を支援しようとしていることであり、事業分野も問いません。モノづくりに限らず販売ノウハウ等でも支援措置が受けられます。
〈新技術利用支援〉
次に、注目を集めた「日本版SBIR」ですが、これは、各省庁が毎年、自らの研究開発費予算の中から中小企業向けの研究開発補助金を掲げ、支出の努力目標を明示し、中小企業庁が目標額への達成度などをチェックする機能を持って、中小企業における研究開発を資金面からも具体的に支援しようとするものです(債務保証枠の拡大 2億→3億、担保・第三者保証が不要な特別枠2,000万円の新設)。この 6月までに各省庁の1999年度分の支出目標が明示されることになっており、1年後にはその達成率が公表されることになります。
紙面の関係もありあまり詳しく述べられませんでしたが、以上がこの法律の概要です。これまでにも様々な創業支援、ベンチャー企業支援の施策が実施されてきましたが、今回の支援措置はこの法律の趣旨通り運用されるならば、画期的なものになるかもしれません。活用のための研究と行動、そして監視が必要のようです。
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