会報誌(DDKだより)

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2021年07月発行 第326号 DDKだより

年金相談:在職老齢年金制度の見直し

Q.在職老齢年金制度が変わると聞きました。どのように改正されますか?

今月の相談員
特定社会保険労務士 服部 雅恵

A.令和2年6月5日公布された「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」の大きな改正点の一つ、60歳台前半の方の在職老齢年金の仕組みが令和4年4月に改正されます。
 在職老齢年金制度とは、老齢厚生年金を受給しながら、厚生年金保険の被保険者として働き一定以上の給与を受けていると、年金額が支給停止される仕組みのことです。老齢基礎年金部分は調整の対象外ですので、ここでの年金額には含みません。
 現行では60歳台前半の方は給与と年金月額の合計額が28万円を超えると調整されますが、この基準(支給調整開始額)である28万円が47万円に引き上げられます(令和3年度価格)。つまり令和4年4月以降は給与と年金月額の合計額が47万円以下であれば年金の支給停止はありません。65歳以上の方は現行基準のまま変更はありません。なお、ここでの給与には月額換算した賞与を含みます(※)。
 一方で、65歳以上の在職中の老齢厚生年金受給者に対しては、新たに在職定時改定が新設されます。こちらも令和4年4月改正です。これは年金額を毎年10月に改定し、それまでに納めた保険料を年金額に反映する制度です。現行では退職等により厚生年金保険の資格を喪失するまでは老齢厚生年金の額は改定されないため、毎年反映されることで就労を継続しながら段階的に年金額も充実されるようになります。

(※)給与(総報酬月額相当額)=【標準報酬月額】+【その月以前1年間の標準賞与額の総額/12】