会報誌(DDKだより)

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2021年11月発行 第330号 DDKだより

巻頭:何でも自前でできる国になって欲しい

石田 仁

 昨年2月頃からまん延し始めたコロナ。感染を防ごうとマスクを求めるが、あっという間に薬局やスーパーから消えました。マスクくらい何とかしてもらいたいと実感。未知のウイルスは情報不足で、対処の仕方が不明のため新型インフルエンザの特措法で対処することに。罰則がなく、強制力を欠いていましたが、多少手直しされ、違反には過料を科し、「まん延防止」と「緊急事態」の組み合わせで人流を抑える対策が取られてきました。それでも、中心は手洗い、うがいにマスク着用。三密防止と自粛です。途中から、PCR検査、隔離、治療、専門医療体制の構築、そしてワクチン接種が主たる対策になりました。経済的には、国民への給付金、企業への緊急融資。自粛企業には、雇調金、協力・支援金等を支給することで対処。第5波も押し寄せたのに、いつも同じ対策が並ぶ。報道では、繰り越された予算が30兆円も余っていると言われているのに、不思議です。
 ワクチンを短期間に間に合わせた米・英・中・露の底力。ワクチンを金で買うしかない日本。ワクチンや治療薬も自前で作って欲しい。時間をかけて系統的に理系教育を底上げし、研究機関や大学にはどんどん予算を付けて自由闊達に研究してもらう。外国の研究機関と協力し、その気になれば有事にあっという間にワクチンを作れる国になりたい。今後、新種のウイルスが発生する危険は十分にあるからです。
 やって欲しいことはまだあります。2050年までにCO2の発生をゼロにし、温暖化を食い止めるのは世界共通の緊急課題。温暖化とCO2の関係を科学的に立証した真鍋氏がノーベル賞を受賞。何と誇らしいことか。このままでは自然が破壊され人類の存続が危ない。日本は、夏が異常に高温で、台風・豪雨や地震が多発し、常に、大災害が発生する。輸入の化石エネルギーに頼る世界有数のCO2排出国です。本気になる必要があります。先駆けて、基本電源を太陽光等の再生可能エネルギーに転換しなくてはならないでしょう。
 他方、食料は、カロリー換算で自給率は37%。毎日、食べている大豆、小麦、油脂類、乳製品、肉類。ほとんど主力食物を輸入に頼っています。先進国では少ない。今、バーチャル水という考え方から実際は、水の豊かな日本も大量に水も輸入しているのと同じです。大豆や小麦、牛肉の輸入先では、その国の大量の真水を使っています。真剣に自給率を高める方向に舵を切る必要があります。
 GDP世界第3位と言っても、伸び率は中国やインド、米国やEUにはるかに劣る。基礎的な研究開発力が不足し、経済も成長しない国になりつつあります。
 国力があると過信していると何もかも他国の力に頼る結果になります。自前できちんと解決できる。そんな国になって欲しいと思います。