会報誌(DDKだより)

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2022年04月発行 第335号 DDKだより

金融・経営相談:「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」適用開始 ―「全銀協」中小企業版・私的整理手続明文化―

Q.昨年より全銀協(全国銀行協会)主導で検討されてきた中小企業の事業再生・事業廃業に関するガイドラインの内容が公表されたようですが、そのポイント解説をお願いします。

今月の相談員
中小企業診断士
中小企業組合士 伊藤 勝

A.従来から大企業や中堅中小企業向けの私的整理ガイドラインはありましたが、今般初めて中小企業者向けに策定され、本年4月から適用開始されます。本年3月全銀協が公表した「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」は、中小企業者の「平時」や「有事」の各段階において、中小企業者・金融機関それぞれが果たすべき役割を明確化し、新たに「中小企業者のための私的整理手続」を定めています。

▼本ガイドライン策定の背景
 令和2年以降の新型コロナウイルス感染症による中小企業者への甚大な影響から、経営改善に取組む企業の難局打開と維持・発展を図るため債務者と金融機関等が一体となって事業再生等に取組むものとしています。

▼債務者・債権者にとって新たな 選択肢となる「中小企業版・私的整理手続」の概要を以下紹介します。
1.対象となる私的整理
 経営困難な状況にある中小企業者(債務者)を対象に民事再生等法的手続によらずに、債権者(金融機関等)との合意に基づき債務の返済猶予、減免等を受けることにより円滑な事業再生や廃業を行なうことを目的とした整理手続です。
2.本手続の基本的な考え方
(1)中小企業者が私的整理を公正迅速に行なうための準則であり、法的拘束力はないものの、債務者・債権者等利害関係人によって自発的に尊重・遵守されることが期待されています。
(2)事業再生や廃業は、私的整理手続によった方が法的手続と比較し、事業価値や資産等の毀損が少ない等、関係者にとってメリットがあることを前提としています。
(3)対象債権者に債務返済猶予・債務減免等の協力を求める前提として、経営責任・株主責任を明確にすることが求められています。
(4)債務者に対する金融債権額が上位のシェアを占める主要債権者(単独又は複数の上位50%以上の債権者)は、中小企業者より本手続の利用申し出があった場合には誠実に協力すること。
3.整理手続の流れ
 「再生型」と「廃業型」それぞれ具体的な手順が明示されていますので、詳細は全銀協のHPをご参照ください。