会報誌(DDKだより)
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2022年10月発行 第341号 DDKだより
巻頭:うさぎ と かめ
青木 正
およそ1400年前頃の古代から、中国・隋そして唐は日本文化と国家体制を確立する上での良き師でありお手本であった。当時の古代船で海を渡るという命の危険をも顧みず優秀な人材を渡航留学させた遣隋使を起点に、街づくり、文化づくり、法律づくりのため、優秀かつ志ある者に国家の体制作りを学ばせた。隋時代には「科挙」というキャリア官僚登用制度が始まり、それは後にアジア各国に広まることとなる。唐・長安では、碁盤の目状に張りめぐらせた道が構成する都で都市作りを学び、それが平城京や平安京の原点となり、律令を制定し、貨幣を鋳造し、歴史書や地誌を編纂し、中国を師として日本国家の骨格を完成させた。
その後、日本も中国も独自の文化・国家をそれぞれ発展させ、お互いの良さを確立してきたが、今から200年程前の近世に状況が一変。近代化の波に乗り遅れた中国・清は欧米列強の格好のターゲットとなり、国家の尊厳をも奪われてしまうこととなる。日本はその惨状をつぶさに見て学習し、国家の指針を上手にコントロールしてきたかに思えたが、軍国主義化があだとなり、出る杭は打たれる、国は焦土と化し完膚なきまでに叩きのめされた。
しかし「ピンチとチャンスは繰り返される」がこの世の常、朝鮮戦争特需と持ち前の不屈の精神であれよあれよという間に復興、またもや世界の最上位に押し上げられたものの、それも束の間バブル崩壊という洗礼に砂上の楼閣はもろくも崩れ去った。
その後の日本はどうだろうか、ここ約20年の進化の遅滞は国力を押下げた。外国語教育と国際化に乗り遅れ、5年前までの携帯電話スマホ率、完全SIMフリー化、デュアルSIM e-SIMの普及も世界に大きく後れをとった。隣国では5年前からすでにスマホの中に、身分証明書、健康保険証、運転免許証、航空券、新幹線鉄道券、電子マネー他がデータとして入れられ、スマホ1つで生活が完結できる。スマホというツールを侮って後塵を拝してしまったのだ。究極は、行政こそまさにDXが必要ではないか? 国会で○○君と呼ばれて席を立ち答弁机に行き来する時間の無駄、採決投票に歩いて登壇に要する時間と前時代的光景。対コロナ行政も保健所のFAXのやり取り報道などは世界の嘲笑を招いた。
今こそ突破力があり、志しがある方々が連帯して古い慣習と既得権益に敢然と立ち向かっていかなければ、かめに先を越された日本うさぎの惰眠はいつまでも続くことだろう。