会報誌(DDKだより)

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2023年03月発行 第346号 DDKだより

年金相談:在職老齢年金による支給停止額とは

Q.70歳会社員です。年金振込通知書の厚生年金保険欄に支給停止金額が記載されています。これは何でしょうか?

今月の相談員
特定社会保険労務士 服部 雅恵

A.60歳以降の老齢厚生年金(報酬比例部分)を受給されている方が、厚生年金保険の被保険者として働き、一定以上の給与(※)を受けていると、年金額が支給停止される仕組みのことを在職老齢年金と言います。
 給与(※)とは、その月の標準報酬月額とその月以前1年間の標準賞与額の合計の12分の1を足した金額を指します。在職老齢年金による支給停止は前述の給与と老齢厚生年金(報酬比例部分)額(加給年金は除く)を月額換算した額が47万円(支給停止基準額)を超えたか否かです。超えた場合は、超えた額の2分の1が年金月額から支給停止されます。47万円以下であれば年金の支給停止はありません。なお、計算の結果、年金額が全額支給停止の場合は加給年金額も支給停止になります。国民年金(老齢基礎年金)部分は在職老齢年金の影響を受けずに全額受給できます。
 厚生年金保険の加入、保険料負担は70歳までですが、70歳以降も被保険者と同様の働き方をしている場合、被用者として標準報酬月額相当額、標準賞与額相当額を用いて、在職老齢年金の仕組みが適用され、支給停止額が計算されます。
 支給停止額の計算方法は令和4年4月改正により、どの年齢でも同じになりました。なお、支給停止基準額は賃金や物価の変動により毎年度改正され、令和5年度4月分からは48万円に改正されることが決定しました。
 
 
(※)給与(総報酬月額相当額)=【標準報酬月額】+【その月以前1年間の標準賞与額の総額/12】