会報誌(DDKだより)
DDK Newsletter
2023年04月発行 第347号 DDKだより
金融・経営相談:経営に関与していない個人の連帯保証解除―信用保証協会保証付き融資―
Q.銀行に信用保証協会の保証付融資の申し込みをしたところ、以前役員をしていた会社の借り入れの連帯保証債務が残っているとの理由で融資を拒絶されました。以前の会社とは無関係になっているのに連帯保証は解除されないのでしょうか。
今月の相談員
中小企業診断士 伊藤 勝
A.金融機関が融資する際に、その企業の経営に直接関係ない第三者を保証人として求める商慣行については、信用保証協会融資に関して現在では全く存在しないと理解していたので驚きです。本当にその企業と無関係な立場であれば、以前の取引銀行に保証人解除の申し出をすれば応じてくれる筈です。
実は、平成18年3月の中小企業庁の通達で、「信用保証協会が行う保証制度については、今後保証協会に対して保証申し込みを行った案件については、経営者本人以外の第三者保証人として求めることを原則禁止とする」と、従来の商慣習を改めることとしました。その理由としては、事業に関与していない第三者が、個人的関係などにより、やむを得ず保証人となり、その後の借入先企業の経営悪化により、事業に関与していない第三者が、社会的にも経済的にも重い負担を強いられる場合が多数存在することが、かねてより社会問題になっていた背景がありました。但し、特別の事情(*)がある場合については、例外扱いとして第三者保証を認めるとしています。
信用保証制度は信用保証協会が債務保証をすることにより、中小企業者の信用力を補完し、主に民間金融機関からの融資を受けやすくする制度です。
以前の連帯保証解除により、これからの貴社の企業存続、発展のため有効に制度を活用されることをお勧めします。
又、政府系金融機関でも保証協会同様「経営者以外の第三者の個人保証を求めない」ことを原則とする融資慣行の確立を進めており、金融庁も、金融機関が企業へ融資する際に経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする旨の監督指針の改正を実施し民間金融機関への指導も進めていることから、第三者の個人連帯保証は減少傾向です。
(*)特別の事情
(1)実質的な経営権を有している者、営業許可名義人又は経営者本人の配偶者(当該事業に従事する)が連帯保証人となる場合。(2)経営者本人の健康上の理由のため、事業承継予定者が連帯保証人となる場合。(3)財務内容その他の経営の状況を総合的に判断して、通常考えられる保証のリスク許容額を超える保証依頼がある場合であって、当該事業の協力者や支援者が積極的に連帯保証の申し出があった場合。