会報誌(DDKだより)

DDK Newsletter

2023年06月発行 第349号 DDKだより

巻頭:チャットGPTは業務の救世主か、それとも…


齋藤 正広

 アメリカのOpenAI社が開発した「ChatGPT(チャットGPT)」がにわかに脚光を浴びています。先月開催された広島G7サミットでも議題に取り上げられるなど、たった1つのプログラムソフトが世界の政治・経済を動かすほどのインパクトを与えています。
 チャットGPTは従来のAIと異なり、0から文章を作成できる生成AIの一種です。難しい言語や表現が理解でき、インターネット上の膨大な情報を収集、学習して、質問や要求に対し瞬時に自然な言葉で回答します。小説や詩を創作することさえ可能です。さらに、会話の内容を学習することで、正答率や会話の精度を上げていく仕組みを備えています。
 創作分野をはじめ、検索、翻訳、プログラミング開発、カスタマーサポート、会議録やアンケート・口コミのまとめといったビジネス領域、教育の現場など、さまざまな領域で活用が見込まれています。
 このように、チャットGPTは業務の効率化を図るうえで画期的なツールと言えますが、課題もあります。一つは、会話を学習するため、企業の機密情報や個人情報を入力してしまうと他の利用者に情報が流出してしまう恐れがあること。もう一つは、犯罪行為や倫理違反につながる利用を察知すると回答を拒否するフィルター機能を備えているのですが、これを回避する技術が次々と編み出され、ネットで拡散しているということです。
 現在、日本では機密情報の漏洩を懸念してチャットGPTの導入を躊躇する企業が圧倒的です。Apple社も独自の生成AIを開発中で、一部開発社員にチャットGPTの利用を禁じました。しかし、悪用やリスクはどのようなツールにもあるもの。開発者や利用者の理解を深め、ルールを整備することで利用者は爆発的に増加していくことでしょう。
 ある顧問先で、代表のご子息が入社し将来会社を引き継ぐ決意をされたとのことでした。代表がチャットGPTに「あなたは有名な企業コンサルタントです」と規定し、ご自身をクライアントとして気を付けることや必要な手続きについてアドバイスを求めてみました。
 結果は… それなりに、いや、かなり的確にA4用紙2枚分程度で回答されていました。
 そして最後には「…以上のアドバイスを参考にしていただくことで、クライアント様と娘さんが円滑な世代交代を行い、○○社の事業を継続的に発展させることができると考えます。どのような視点でもサポートさせていただきますので、何かご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。」と締めくくられていました。
 いやはや、普通のコンサルタントは必要なくなる?