会報誌(DDKだより)

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2023年11月発行 第354号 DDKだより

年金相談:パートタイマーの社会保険加入基準とは

Q.社員50名の法人です。社員の他パートタイマー10名は全員扶養の範囲内で勤務しています。来年の適用拡大に当社は該当するため、就業条件の変更が必要でしょうか?

今月の相談員
特定社会保険労務士 服部 雅恵

A.適用事業所等に勤務するパートタイマーの社会保険への加入は法律で基準が定められています。社会保険上の加入対象となるパートタイマーとは、1週の所定労働時間および1か月の所定労働日数が、その事業所で同種の業務を行う常用者の4分の3以上の勤務をする者です。例えば週40時間の所定労働時間で、月平均所定労働日数が20日の事業所の場合、週30時間以上かつ月15日以上勤務する者が被保険者となります。
 一方、適用拡大により加入対象となる方は「短時間労働者」と区分され、前述のパートタイマーとは異なる条件で対象になります。この条件を4要件といい、対象者は勤務する企業規模で決まります。現在は従業員数100人超の企業が対象で、来年10月1日からは従業員数50人超の企業へと拡大されます。
(1)週所定労働時間が20時間以上
(2)賃金の月額が8.8万円以上
(3)雇用期間が2か月を超えて見込まれること
(4)学生でないこと(休学中、夜間学部を除く)
 注意点は(1)~(3)は雇用契約内容で決まりますが、実態が2か月を超えて要件に該当する場合、超えた月から加入対象となります。また、扶養の範囲内というのは税法上と社会保険上では年収ベースで異なり、配偶者(扶養側)の基準もあるかと思います。本人の意向も大事ですが、会社として求める就業条件を明確にし、従業員への説明をお勧めします。
 厚生年金保険に1か月以上の加入期間があれば、将来65歳から老齢基礎年金に加えて、老齢厚生年金(報酬比例部分)が受給できます(老齢年金は10年以上の加入期間が必要)。健康保険についても病気で働けないときの所得補償である傷病手当金などの給付が受けられるようになります。
 労使ともに保険料負担が増えますが、本人にとって公的社会保険への加入は社会保障を手厚く享受できるようになります。