会報誌(DDKだより)

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2023年12月発行 第355号 DDKだより

金融・経営相談:経営改善サポート保証(コロナ対応)制度の拡充

Q.コロナ対応借入金を利用し、なんとか経営改善しながら凌いできましたが、コロナの影響に加え資材高騰など思わぬ外的要因により、厳しい経営状態が続いています。今後、事業再生を真剣に検討が必要です。中小企業に対する経営改善・再生支援制度を教えてください。

今月の相談員
中小企業診断士 伊藤 勝

A.最近の金融対策で注目されているのが、保証協会が中心になって進める「経営改善サポート保証制度(コロナ対応)」です。
 この保証制度は、経営サポート会議(*<1>)や国が認定した税理士などの専門家による「認定経営革新等支援機関(認定支援機関)」(*<2>)等の支援により作成した再生計画案に基づき、中小企業者の早期の経営改善や事業再生を後押しするために必要な資金の借入を保証する制度です。本年、その要件の一部が拡充され、2024年3月31日まで利用が可能です。
 コロナの影響の長期化や物価高騰の影響で債務を抱え、経営状況の困難な状況の中小企業者への国の支援策の一つです。
 制度の概要を以下ご紹介しますので、ご参考にしてください。
1.計画策定段階から計画実行段階までの流れ
(1)「信用保証付き融資利用者と金融機関」より保証協会へ相談
(2)「認定支援機関」、「サポート会議」等での協議(▲経営改善・再生計画策定支援▲金融支援策▲債権者間の調整)(3)合意形成(4)計画実行(融資・経営支援―経営改善サポート保証の活用)
2.保証条件は、以下の通りです。
▼保証限度額:2億8000万円(一般の普通・無担保枠とは別枠)
▼保証割合:責任共有保証(80%保証)。但し、100%保証及びコロナ禍のセーフティネット保証5号からの借換については100%保証)▼保証料率:0.2% ▼金利:金融機関所定 ▼保証期間:15年以内 ▼据置期間:5年以内。
 アフタコロナを迎え、コロナ禍で傷んだ企業はゼロゼロ融資の返済や過剰債務の解消、新たな資金調達、物価高、人手不足など重い経営課題が山積みしています。自己努力では改善に限界のある企業は、中小企業支援の諸制度の有効活用が肝要です。

*<1>経営サポート会議:個々の事業者を支援する信用保証協会等を事務局とした支援の仕組みで、経営改善計画や金融支援の内容について、関係者の合意形成希望する債務者が取引金融機関等と一堂に会し、情報共有、意見交換を行う場。
*<2>認定経営革新等支援機関:中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定のレベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関(税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関等)