会報誌(DDKだより)

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2024年02月発行 第357号 DDKだより

金融・経営相談:災害見舞金は、寄附金になる場合と損金となる場合があります

Q.日本各地で大きな災害が起きていますが、今までは支払った災害義援金を寄附金として処理してきました。この度の災害で、古くからの外注先が被災したので災害見舞金を直接送りました。会社の経理や税務上の取り扱いはどうしたらよいでしょうか。

今月の相談員
税理士 平石 共子

A.災害により被害を受けられた方を支援するために、被災地の地方公共団体に設置される災害本部等に義援金を支払った場合は「国等に対する寄附金」に該当して、支払った全額が損金となります。また、日本赤十字社や社会福祉法人中央共同募金会などに対して支払った義援金については、最終的に義援金配分委員会等に対して拠出されることが募金趣意書等に明記されている場合は「国等に対する寄附金」に該当して、支払った全額が損金となります。会社が支出する寄附金については、事業の関連性がない場合でも多額の寄付によって、法人税の課税となる所得を減少させることになるので、一定の制限が設けられています。
 ただし、国等に対する寄附金については全額損金にすることができます。これは、税金という形ではなく寄附金であっても国庫に入ることは同じだからといえます。
 これに対して、ご相談の被災した取引先に対する災害見舞金は、被災前の取引関係の維持・回復を目的として、取引先の復旧に対して支出されるものであり、取引先の救済を通じて自社がこうむる損失を回避するための費用と考えられます。
 したがって、会社の経理では経費として取り扱い、税務上も全額損金となります。
 取引先に対する見舞金であっても交際費には該当しません。適当な科目がないので、雑費で処理するとよいでしょう。領収書がなくても、帳簿書類に支払先の名称、支払年月日を記録しておくことが必要です。そのほか、復旧支援を目的とした売掛金、貸付金の免除は全額損金にできます。
 なお、被災した取引先の役員や従業員に対して、個別に支出する災害見舞金は個人事業主に対するものを除いて、交際費として取り扱います。
 また、災害見舞金に充てるために同業者団体等への拠出する分担金等は、相互扶助の観点から、特別会費として全額損金とすることができます。
 そのほか、不特定又は多数の被災者を救援するために自社製品等の提供を行った場合も損金にします。
 いずれにしても、一日でも早い復興が急務です。