会報誌(DDKだより)

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2024年03月発行 第358号 DDKだより

年金相談:在職老齢年金による支給停止額

Q.66歳会社員です。昨年、決算賞与が支給され、年金額が大幅に減少し困っています。何か対策はとれないでしょうか。

今月の相談員
特定社会保険労務士 服部 雅恵

A.60歳以降の老齢厚生年金(報酬比例部分)を受給されている方が、厚生年金保険の被保険者として働き、一定以上の給与(※)を受けていると、年金額が支給停止される仕組みのことを在職老齢年金と言います。
 給与(※)とは、その月の標準報酬月額とその月以前1年間の標準賞与額の合計の12分の1を足した金額を指します。在職老齢年金による支給停止は前述の給与と老齢厚生年金(報酬比例部分)額を月額換算した額が48万円(支給停止基準額)を超えたか否かです。超えた場合は、超えた額の2分の1が年金月額から支給停止されます。48万円以下であれば年金の支給停止はありません。この計算方法は令和4年4月改正により年齢関係なく同一の計算方法になりました。なお、計算の結果、年金額が全額支給停止の場合は加給年金額も支給停止になります。国民年金(老齢基礎年金)部分は在職老齢年金の影響を受けずに全額受給できます。
 65歳以上70歳未満の方は、毎年9月1日を基準日として、在職定時改定も行われます。
 これは在職中であっても前年9月から当年8月までに納付した保険料をもとに老齢厚生年金(報酬比例部分)額が改定されます。納付した保険料分を反映させるため、年金額が増額しますが、在職老齢年金の仕組みにより支給停止額が増えることもあり注意が必要です。質問者の方もこの事例にあてはまり支給停止額が増え、実際の年金振込額が減少してしまいました。とはいえ、期末賞与、決算賞与などの類は金額が確定していないため業績好調による賞与はたとえ年金額が減ってもその分以上の収入増になっていると考えられます。従って、支給停止額が一時的に増えても決算賞与の調整はお勧めできません。
 令和6年度4月分からの支給停止基準額は50万円です。また物価上昇等により年金額そのものも増額改定します。これらにより6月振込分より年金額は改定されますので、年金額改定通知書が届いたら確認してみてください。

 (※)給与(総報酬月額相当額)=【標準報酬月額】+【その月以前1年間の標準賞与額の総額/12】