会報誌(DDKだより)
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2024年04月発行 第359号 DDKだより
巻頭:地方百貨店の閉店から見えてくること
石田 仁
1月14日、松江にある創業65年の一畑百貨店の閉店が報道されました。理由は、大型ショッピングモールやインターネット販売の普及に加え、コロナ禍による需要の低迷が原因と言う。デパートは高級専門店を中心に集めた旧式の売り方。都心のデパートでも、生鮮食品売り場やレストランは盛況ですが、専門店はお客さんも疎ら。確かに、このままでは、経営は大変です。私はデパートに出かけ、見て、触れて購入します。ただ、私たち高齢世代が主力では、工夫しないと都心のデパートでも集客は厳しい。まして、周辺の人口減少が大きく売上に影響する地方都市は、一民間私企業による努力だけでは無理がある。閉店後の利用については、松江市と商工会議所も入り共同で決めていくそうだ。
若者、特にZ世代(若い子育て世代も含め)は、タイムパフォーマンス(時間効率、タイパ)を重視します。費用がかかっても、とにかく、何でもスピードが決め手。お店に行く時間を惜しみ、余った時間を他のやりたい事に充てる。ビデオは倍速で視聴。特色ある雑貨だけでなく日常の食料品・衣類までまとめてネットで購入。実にムダのない効率重視の生活ぶりです。彼等にとってデパートがなくなっても影響は少ない。他方、リアルで購入していた人にとっては、残念至極。少し贅沢な食事や催事等の楽しみが消えてしまうからです。
コロナは、収束に向かいつつありますが、実店舗での需要は以前の様に増えていません。むしろ、働き方改革やタイパを重視する流れが加速し、買い手の購入方法が大きく変化。さらに、新規の即配業者は、大手スーパーやコンビニを拠点に注文をネットでリアルタイムに受け、顧客までのラストワンマイルを競う。
今後、少子高齢化で人口が減り、大都市への一極集中が進めば、地方小売店は確実に減少。買い物弱者は30年代に1,000万人を超えると予測される(日経1月28日)。いろいろな理由で、お店に行かない購入層が徐々に増加。電話やネット注文の宅配から、即配、生協方式、巡回移動販売、その他無人店舗やドローン活用等形態はいろいろ。気がつけば、食料品を売る店舗が地域から消失。
安心して、毎日を豊かに暮らしたい希望はどの世代も同じ。今のZ世代も未来はシニア。肝は、住民として、最低限、身近な地域のお店で食料や日用品を買い、お店を支え続けることにありそうだ。来店できない高齢者は、ネットの利用に習熟する必要がある。いや、進化し続けるAIが代わりにやってくれる時代の到来かも。