会報誌(DDKだより)

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2024年08月発行 第363号 DDKだより

金融・経営相談:経営者保証を提供しないことを選択できる 信用保証制度の創設―事業者選択型経営者保証非提供制度―

Q.最近、経営者保証不要の融資が進んでいますが、信用保証制度に適用できる経営者保証不要の新たな制度が出来たと聞きますがどのような内容でしょうか。

今月の相談員
中小企業診断士 伊藤 勝

A.お尋ねの制度については、中小企業者(法人)が、一定の要件を満たした場合に、保証料率の上乗せを条件に保証人による保証を提供しない(無保証人)ことを選択できる信用保証制度で、本年3月より取り扱いが始まりました。
 本制度を各種の信用保証付融資に適用することで、経営者保証を提供することなく融資を受けることができます。
【制度の概要】
1.要件:以下の5つの要件のいずれにも該当すること。但し、法人の設立後最初の決算が未了の者の場合にあっては(1)から(3)までに掲げるものを、法人の設立最初の2期分の決算が未了の者にあっては(3)に掲げるものをそれぞれ除く。
 (1)過去2年間(法人の設立日から2年経過していない場合は、その期間)において決算書等(*1)を申込金融機関の求めに応じて提出していること。
 (2)直近の決算において代表者(*2)への貸付金等(*3)がなく、且つ、代表者への役員報酬、賞与、配当等が社会通念上相当と認められる額を超えていないこと。
 (3)直近の決算において債務超過でない(純資産の額がゼロ以上である)こと又は直近2期の決算において減価償却前経常利益が連続して赤字でないこと。
 (4)上記(1)及び(2)については継続的に充足することを誓約する書面を提出していること。
 (5)中小企業者が、保証料率の上乗せにより保証人の保証を提供しないことを希望していること(*4)。
2.保証料率
 [1]上記の(3)の要件の両方を満たす場合
 信用保証協会所定の保証料率に0.25%上乗せ。
 [2]上記の(3)の要件のいずれかの一方を満たす場合又は法人の設立後2事業年度の決算がない場合
 信用保証協会所定の保証料率に0.45%上乗せ。
3.保証人:不要
4.対象となる保証:無担保保険(限度額8000万円)に係る保証
 その他詳しくは、最寄りの信用保証協会又は取引金融機関にご照会ください。

(*1)原則、決算書とするが、必要に応じ試算表や資金繰り表等も含む。
(*2)「代表者」には代表権を持つ者のほか、代表者に準ずる者も含む。
(*3)「貸付金」以外の金銭債権(仮払金・未収入金等)も含み、少額のものや事業の実施に必要なものは除く。
(*4)経営者保証を不要とすることができる既存の保証制度については、本制度によらず、引き続き従前の取り扱いが可能。