会報誌(DDKだより)
DDK Newsletter
2024年09月発行 第364号 DDKだより
巻頭:突然の「公益通報」
沼田 道孝
一通のレターパックが税理士法人代表として私に届けられました。(すでに代表は退いて1年半は経過しています)差出人の名前は記載されていますが、住所はなく、その他の連絡先の記載もありません。そこにあるのは公益通報という文字です。
この間、鹿児島県警の事件や、兵庫県知事への内部告発で話題になった公益通報者保護法に関わるような趣であり、何が送られてきたのか、まず不安になりました。差出人に全く覚えがないのです。
かなりの量の資料が入っていて、関与しているお客様に対しての告発のような内容が連綿としるされていました。内容について担当者と一定の時間をかけ、確認を進めました。真偽のほどは、ほとんど確認できず、また告発の体をなすために国税局の人間であるという記述までありました。名簿を確認しましたが、差出人と同名の国税局のスタッフは存在しませんでした。弁護士に連絡を取り対応策を検討しましたが、この件について、一切関わらないことを決めました。お客様には、担当者から送られてきた事実だけを伝えるようにしました。
この事件のおかげで、公益通報を調べることに。公益通報者保護法は「公益通報とは、労働者等が、不正目的でなく、その労務提供先、又は役員等について一定の法令違反が生じているか、生じようとしていることを労務提供先や行政機関、外部機関に通報すること」と定め、「不利益な取り扱いを禁止し、公益通報者の保護を図る」目的で作られたものでした。
公益通報という言葉の持っている力は、大変大きなものがあります。「公益通報」とされている内容は関与税理士としての影響力をつかい自説を押し付けようとする行為と考えられます。長く税理士をやってきましたが、ここまでひどい経験は初めてです。国税局員を偽るこんなやり方は勘弁願いたいものです。