会報誌(DDKだより)

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2024年09月発行 第364号 DDKだより

人事労務相談:小さい職場ですが、36協定の締結は必要ですか

Q.よく、労使協定を結んでいなければ時間外・休日勤務はさせられないと聞きますが、うちのような零細企業では、実感がありません。どういう意味でしょうか。

今月の相談員
経営コンサルタント
社会保険労務士 石田 仁

A.時間外・休日勤務は2通りあります。一つは、1日の勤務が、8時間は超えていない場合(または1週40時間)、休日について週1日(または4週に4日)付与されていれば、他の休日に出勤しても、36協定の対象外の勤務となります。ただし、休日勤務が次の時間外勤務に該当すれば、36協定の対象となり時間外の割増手当も必要。
 もう一つは、勤務時間が1日8時間を超えるか、1週40時間を超える場合は時間外割増(0.25以上)、また、休日勤務が週1日もしくは4週に4日の法定休日の出勤に該当すれば、休日割増手当(0.35以上)が必要です。
  時間外・休日割増手当を支払っていれば労使協定がなくても問題ないかという点です。結論から、割増手当を支払っても労使協定を締結し届出がないと罰せられます。これが本稿テーマの36協定です(労基法第36条)。正式には「時間外・休日労働に関する協定書」でサブロク協定と称されます。
 手続きは、事業場の過半数代表者と労使協定を結び、これを所轄の労働基準監督署長に届出し、社員の皆さんに周知させることが必要です(労基法第36条、106条)。手続きが済んでなければ時間外・休日勤務は禁止(させてはいけない)となり罰則が適用されます。
 この36協定の締結、届出義務は就業規則とは異なり、10人未満の職場でも適用されます。面倒でも円滑な業務遂行と社員の健康維持のため不可欠な手続きです。
 とくに、過半数代表者の選出が煩雑と感じられるかもしれませんが、誰かに立候補に立ってもらい、過半数の信任を得ることです。立候補は、自発的にできればよいのですが、少人数の職場では、社長が「36協定締結の過半数代表者が必要です。来週までにお願いします。投票、挙手、話し合い、持ち回り決議で選出して下さい」と声かけするのが大切でしょう。立候補者に対する投票だけでなく、民主的な信任が確認できる方法であればよいのです。注意したいのは、社長が一方的に指名、あるいは社長の意を受けた社員が勝手に社員代表と名乗っても無効になります。また、管理職は代表に立候補できませんが、代表選出の1票の権利はあります(平成11.3.31 基発169、168号)。また、締結された労使協定の内容は管理職にも適用されます(労基法第41条の除外あり)。注意したいのは、周知義務です。会社は、36協定の内容を社員に周知しなければなりません。ここで周知とは、社員が必要な時に容易に確認できる状態にあることとされています。具体的には、見やすい場所に掲示または備え付けること、書面で交付またはコピーする、データで閲覧できる等の方法でよいとされています。
 ぜひ、早急に社員代表を選出し36協定を締結して下さい。