会報誌(DDKだより)

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2025年02月発行 第369号 DDKだより

巻頭:溢れる情報を見極めること


齊藤 隆

 昨年中も様々な社会の変化が起こった年でした。年頭から衝撃を受けた能登大震災から始まり、自民党の裏金政治資金問題、岸田総理の辞任と石破内閣の誕生、衆議院議員総選挙での与党の大敗、各地での豪雨や豪雪災害、日本被団協のノーベル平和賞受賞などなど、社会の歯車が大きく動くような様々な出来事がありました。そんな出来事の一つに、兵庫県知事のパワハラ疑惑などによる失職と、どんでん返しといってもいい再選という騒動がありました。
 この知事選では、根拠のない事実に反する情報がSNS上に故意に大量に拡散され、それらが選挙結果に影響したと言われています。実際に私もこの選挙期間中に「齋藤知事ははめられた」「パワハラはでっちあげ」などというX(元ツイッター)の投稿を目にしました。おかしいとは思いつつ、えっそうなの?!と思ってしまう自分も正直あったりして、これは他人事ではないな、と思わざるをえませんでした。
 SNSは、誰でもが簡単に発信でき、コミュニケーションを楽しむことができたり、様々な宣伝の媒体とすることができる反面、闇バイトや社会悪への入口へ簡単につながることができてしまったり、デマを拡散してしまう負の力も持っています。動画サイトでは、視聴数の多さで利益を得られる仕組みがあるため、有益な情報もたくさんありますが、一方では低俗なものや悪戯に興味を煽る内容のものも多く溢れています。そしてそれが今や、兵庫知事選のように、良くも悪くも社会を動かしてしまうようなメディアとなっている、という現実があります。
 今、特に若い世代では、テレビや新聞などの大手メディアよりも、ネットやSNSを通じて社会の様々な情報を得ていると言われています。それは、大手メディアが政治の大きな力に忖度してか、政治に対する批判や正しい情報を報じない傾向が増えるにつれ、ネットやSNSから情報を得ようとする意思の表れ、とも言われています。正しい情報にたどり着ければいいのですがー。その点では大手メディアの責任も問われています。
 権力者による情報操作やデマが悲惨な歴史を生んだ過去を思い返すにつけ、ネットやSNSを正しく利用すること、そして大手メディアを含めた様々な情報の真偽を見極め、正しい情報を選べることが、今とても大事になってきていると感じています。