会報誌(DDKだより)
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2025年05月発行 第372号 DDKだより
巻頭:能登地震の中間報告・その復興と未来
河原 八洋
私の生まれ育った能登での、昨年1月の地震と、9月の集中豪雨については昨年報告しましたが、その後の復旧、復興には半島地形も関係して、困難を極め遅れています。
3月18日、東大本郷キャンパスで『能登半島の復興と未来』と題するシンポジュームが有り、私も参加しました。大学の学部を超えて多くの学生や先生方が、輪島市を中心にした現地で、地震と豪雨災害の調査をされていて、今回はその中間報告を兼ねたものでした。能登の主要な産業は、農業、漁業、陶器、漆を使った食器などです。輪島港はその昔、北前船の寄港地で、能登の海産物や漆器類を全国に売り広げた歴史が有ります。この能登の漁業や産業を支えてきた港の中には、今回の地震で海側プレートが、半島側にのめり込んだ為、海底が4~5m隆起して、使用不能に成った所もあります。
また輪島市の隣の珠洲市では、地元、金沢大学の先生方と学生が、復興計画作成にも参加していて、以前に開催していた『能登芸術祭』の再興プランも練っています。参加してこられた方々は、『今、何を以て、能登半島を復興させて行くか』を、被災者と共に考え、活動しています。
能登半島は幸いな事に、漁場に恵まれており、たくさんの船着き場が有ります。私は、輪島の千枚田の様に、単なるお米の収穫だけで無く、観光と、体験を取り入れた、観光客参加型漁業などを組み入れた、再生プランを考えてはどうかと思いました。
復興支援の活動は、まだまだ足りていません。計画を立て継続させる事が大切です。何をもって、生まれ育った『能登』を再興、発展させていくか?私は、中心は『海』だ、と思いました。能登半島は外海有り、内海有り、小島や岩場も多く、千里浜の様な車が走れる海岸もあります。また能登は、昔から『お祭り』が盛んなところです。お祭りのお仮屋は、神様に感謝を込めて海辺に造ります。どの町でも、お祭りを大切にしていて、街を出ていく若者は、お祭りには帰る事を、親や地域と約束しています。
先端の珠洲市は、10年間の復興計画の中に、『奥能登国際芸術祭の復活』や奥能登の4市5町で、『トキ』の放鳥にも計画しています。
能登の復興はこれからです。
2度の大きな災害に負けず、『知恵と力』を借りながら、復興していく能登を応援してください。