会報誌(DDKだより)

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2026年05月発行 第384号 DDKだより

人事労務相談:休職制度がない場合、長期欠勤に どのように対応するか

Q.社員の1人から持病の腰痛がひどいとの理由でしばらく休職したい旨の申出がありました。当社には休職制度がなく、今まで誰も長期の欠勤はなかったので、必要な場合は、個別に健康保険上の傷病手当金を請求させ、対応していました。今後、どのようにしたらよいでしょうか。

今月の相談員
経営労務コンサルタント
社会保険労務士 石田 仁

A.私傷病に係る休職制度がない場合は一般には欠勤扱いとされます。給与の補償は、短期日ならば年休が行使され、長い場合は一定の要件が備われば健康保険上の傷病手当金制度を活用することになります。これは、健康保険法の制度であり、貴社の休職期間を定めるものではありません。どういう人がどれくらいの長さの休職ができるかは会社が独自に定めることになります(労働基準法 下 厚労省労働基準局編コンメンタール)。
 休職制度(××日間は会社が認めた休職期間として休んでよろしいと言う規定や命令)がなければ私傷病欠勤は、労働力の提供がないので社員側の債務不履行となり、雇用契約の終了(契約解除や解雇等)となる可能性があります。なお、一般には「身体、精神の故障で業務に耐えられないとき」は解雇事由となります。休職制度がないからと言って、欠勤が続き、社員を直ちに退職させることは困難です。医師の診断書等の見解を踏まえ、本人の意向、復職の見込み、配転の可能性、会社業務への支障の程度を具体的に判断できる真摯な協議が必要です。その上で、退職かどうかを決定します。長期欠勤を理由に直ちに退職や解雇を主張すべきではないでしょう。
 事案の場合、休職制度を作った方が労使双方にとって有益です。面倒でも会社が実現可能な最低限度の休職制度を作ることが肝要です。[1]休職発令の条件(私傷病欠勤が1か月続いてもまだ傷病が治らない等)[2]休職期間の上限(勤続年数に応じ3か月から6か月あるいは1年等)[3]休職期間中の社会保険料の扱い方[4]復職の条件(医師による診断書、通常業務が可能、配転の可能性等)[5]休職期間満了の取り扱い(延長、退職等)を就業規則等の規程に予め定めておくことが大切です。
 入社の際には労働条件通知書におり込み、他の労働条件と同様に休職制度も説明するようにしましょう。