会報誌(DDKだより)

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2026年07月発行 第386号 DDKだより

巻頭:政策の功罪を歴史に委ねる


青木 正

 向夏のみぎり穏やかな季節を過ごせるかと思いきや、 ’円 対USドル‘ の160円を超える歴史的円安が連日続いております。私は1997年の社長当時に商社経由取引をやめ、海外中小企業との直接外貨建て輸出入貿易取引に切替えたので、毎日寝ても覚めても外国為替相場は常にセンシティブマターでした。
 2012年12月、民主党政権に代わって自民党第2次安倍晋三内閣が成長戦略 ‘3本の矢’ アベノミクスを掲げて発足し、翌春にリフレ派の黒田東彦日銀総裁(当時)と組んだ大規模金融緩和政策で円安・低金利に誘導しました。しかし大企業は恩恵を受けたにもかかわらず ‘内部留保’ を拡大、国会は大企業の円安恩恵を労働者や国民に還元する法令を作らず、大企業自体が潤ってしまいました。変動金利融資で目一杯借り、金利が上昇すると返済が苦しくなるから、選挙に影響するので日銀は利上げできず、当初3年間を目途の大規模金融緩和も目標成長率2%未達でズルズルと時が経過。DDK例年の総代会記念講演をお願いした 浜 矩子先生、金子 勝先生、荻原博子先生方は ‘異次元金融緩和を抜け出せない将来の危険性’ から円安所以の物価急上昇を招くと毎回警鐘を鳴らしておられました。
 かつてドイツで第一次大戦敗戦後に、‘まるで理想郷のようなワイマール共和国’ が10数年間存在したのをご記憶の方もいらっしゃると思います。その最盛期は ‘ドイツ黄金の1920年代’ とも呼ばれ、米国から戦後復興名目の投資金がジャブジャブ入り、大規模工場や巨大施設の建設ラッシュ、労働者はこの時代にして週休2日で8時間労働、余暇はスポーツクラブに各種娯楽とリゾートライフを謳歌、経済効果の金廻り好循環が生まれました。米国ハリウッドを凌ぐ映画製作大拠点も建設され、ナイトクラブが林立する都市部ではLGBTカップルがオシャレして闊歩し ’もはや戦後ではない’ を享受しましたが、突然の世界恐慌によって経済基盤の脆弱な ‘砂上の楼閣’ は急崩壊し、その反動から失意の民衆はナチスに歓喜衆合し、独裁の渦中に一気に飲み込まれて行ったのです。
 私たちは、’近い将来から子孫たちが生きる遠い未来まで’ を予測して、今どうすることがベストかを考察しなければなりません。消費税、赤字国債、皇室典範改正、移民問題、防衛・核保有隣国問題などが山積み。ぜひ、ひとときの人気、感情、自己の利害、考証に欠ける愛国心などに惑わされず、国の方向性や選択を見誤らないようにしたいものです。