会報誌(DDKだより)

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2026年08月発行 第387号 DDKだより

巻頭:昭和ポップス


齊藤 隆

 歌声喫茶という仕事がら、どんな世代がどんな大衆音楽を聴いているか、それが社会のあり方とどう関わっているか等について、とても関心があります。
  一台のテレビを家族で囲んで見て楽しんだ昭和の時代とは、今はかなり様変わりしていますし、世代や情報環境の違いでも、楽しむ音楽がかなり異なっているようです。大晦日の紅白歌合戦では、出場するのだからよほど人気があるのだろうけど、まったく初めて見るアーティストがとても多い、というのは自分だけではないと思います。昔のように、どんな世代でも知っていて楽しめる音楽がとても少ないように感じます。
  そんな中でも、いま幅広い世代の支持を集めているのが「昭和ポップス」と呼ばれる、昭和45年頃からの昭和の歌謡曲です。明確な年代が定義されているわけではなさそうですが、昭和全期を表す「昭和歌謡」とは区別して「昭和ポップス」と呼んでいるようです。リアルタイム世代は、だいたい60~70代です。その世代にとっては、ちょうど平成の30年間を経たことで、昭和の時代を思い出して、「懐かしく愛着がある」と感じる感覚が醸成されたのではないでしょうか。
  そして今、それが若者たちにも一大ブームになっています。自分の周りにいる昭和ポップス好きな若者に聞くと、「親がよく歌っていた」「親の運転する車でずっと流れていて覚えた」と、親の影響で知ったという人が多いです。現代の若者たちは、ユーチューブ等の動画サイトや配信などで音楽を楽しんでいます。それらはほんとに容易く昭和ポップスに触れられ、その良さを知ることが出来ます。愛好家が増えると、テレビでも昭和ポップスを扱った番組が増えてくる。様々な場面で知った音楽を、ネットでさらに深く調べることができます。
  そんな環境のおかげで若者の支持を得たようですが、やはりなんと言っても、とても親しみやすく覚えやすいメロディーと、シンプルでかつ深みのある歌詞であること等、音楽的にも優れていることが支持を得る最大の理由でしょう。一度聴いたら歌えてしまうような印象的で親しみやすい曲がたくさんあります。
  時代の変化とともに大衆音楽も変わっていくのは自然な流れです。しかし、世代をこえて共感され愛される曲というのは名曲だと思うし、そんな曲が多い「昭和ポップス」は一つのジャンルとして、後世まで聴き、歌い継がれていってほしいと思っています。