会報誌(DDKだより)
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2026年09月発行 第388号 DDKだより
巻頭:AIの可能性と影
齋藤 正広このたびの熊本地震並びに千葉の集中豪雨により被災された皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。一日も早い復旧・復興と、皆様の安全で穏やかな暮らしが戻りますことを祈念いたしております。
さて、急速に浸透している「AI」ですが、先日、とても興味深いニュースを目にしました。岡山県の式場で32歳の女性が結婚式を挙げたのですが、お相手は彼女が好みを徹底的に詰め込んで作り上げた超絶イケメンのAI。プロポーズはAIからされたそうで、当日は大型ディスプレイ越しに指輪の交換まで行われました。
その後の新婚生活では、毎朝スマホの画面から優しい言葉をかけられ、日常の悩みもすべて肯定的に受け止めてくれる――まるで本当の夫がいるかのような生活を満喫されているとのこと。人の心にまで寄り添う進化には実に感心させられます。
事実、AIはビジネスの現場にも大きな可能性をもたらしています。人手不足の中で業務効率化の切り札として活用が進んでおり、私どもの事務所でも、データ入力などの定型業務や会議の録音データからの議事録作成などで大きな改善効果を実感しています。経営を助ける強力な存在であることは間違いありません。
しかしその一方で、慎重にならざるを得ないリスクも見えてきました。
一つは、専門業務における判断の危うさです。AIの性能は驚くほど向上しましたが、複雑な税務や法務といった分野では、まだまだ平然と誤った回答を出してきます。若手社員が経験不足からそれを真に受けてしまうと、本人の成長を阻むだけでなく、お客様へのご迷惑につながる恐れもあります。
もう一つは、セキュリティの脅威です。ご存じのように、企業へのランサムウェアによる攻撃被害が急増しています。最近では、米Anthropic社などのテストで、AIが自律的に企業の脆弱性を分析し、不正に侵入を試みる事例が確認され話題となりました。米国政府が最先端AIの利用制限や規制に踏み切る事態にも発展しています。
便利さの裏で、AIはすでに人間の想像を超えるスピードで進化しています。だからこそ、私たちはAIと「いかに賢く付き合っていくか」が大切になってくるのではないでしょうか。
AIに判断を丸投げしてしまうのではなく、利便性の裏にあるリスクにも目を配ること。そして、AIが出してきた答えを経営者あるいは専門家としての経験と目で見極め、最終的な判断と責任を持つという「人間の役割」を大切にすることだと感じています。
どれほど技術が進化しようとも、事業の舵を取り、人と人との繋がりを育む主役は「人間」です。AIに指示を出すのも、その暴走を止めるのも、最後に責任を負うのも人間。超絶イケメンAIのような「完璧で文句を言わないパートナー」にはなれずとも、泥臭く自分の頭で考え、決断を下す「人間としての矜持」だけは、いつまでも持ち続けたいものです。