会報誌(DDKだより)
DDK Newsletter
2000年08月発行 第75号 DDKだより
巻頭言:民事再生法では企業は救えない
顧問 岩井 義照祝経営研究所所長
<近著>
『どんとこい銀行』改訂版
(サンマーク出版)
破綻企業が増える中で、民事再生法が誇大に宣伝されているが、これは誤り。再生法では殆ど再生できず、事実上破産法と変わらない。何故かといえば再生法では銀行借入は別除権として全額残り、支払手形・買掛金などをカットすることとなるが、これは決定的な誤りであるからだ。
破綻した企業を救う道は原則として債務カットしかない。債務がゼロになればどの企業も立直れる。
債務は大きく分ければ金融機関からの借入と、仕入れ・未払などの一般債務がある。既に破綻した企業はこの両方を支払うことは出来ない。とすれば借入金の元利金支払いを停止するのが正しい方法である。
支手・買掛を7-8割もカットすれば、今後の仕入に支障をきたす。現金仕入ができれば問題ないが金融機関からの借入は絶対出来ないから資金に余裕などない。しかし仕入に支障をきたせば得意先・客から捨てられやがて倒産するしかない。
では借入金を自力で放棄させる方法はあるのか。簡単である。担保不動産さえ捨てればこれで事実上無借金経営となることができる。
担保不動産を売るなり、競売にかけてもらって、その代金を入金すれば、金融機関はあとの残額は償却処理をして、担当者もいなくなる。事実上債権放棄をする。これは会計処理上当然の処理であり、またこのように処理するよう金融庁から指導されている。
回収不能な貸付金を資産に残せば、これは事実上の粉飾決算になるからだ。これ程簡単な債務免除の方法があるのだから、自力でこれを行えば良い。法律的にも残債務は5年後には時効が完成するから、保証債務を含めてすべて消滅する。民事再生法などに頼る必要は全くない。民事再生法を申請すればそれは破綻寸前企業だということを公表することとなる。担保不動産さえ捨てれば無借金となれる。仕入先・下請先へのしわ寄せは最後まで避けるべきであるが不動産にこだわらなければ救われる。