内閣府は、4月の月例経済報告で「景気は引き続き不透明感がみられる」との判断を示した。イラク情勢等不確実な要因が多く、米国経済や株式市場などの先行きも見極めにくいことが「不透明感」という表現のようだ。
しかし、日本の株安は2001年の春から、決算期末になると半年ごとに見舞われ政府が株価対策を打ち出すという繰り返しが続いていたが、今年は新年度に入って早くも大幅な株安に陥っている。
これ以上の株安は、日本経済と企業経営に深刻な影響を与える。年金資産が傷み、社会保障費負担増の要因となり、雇用不安を強めている。
これは明らかに「不良債権問題を処理しない限り景気回復はあり得ない」として、規制緩和と構造改革を強硬に推進する小泉政権の誤りだ。
長期化した不況下で押し進めている経済政策は多くの矛盾を生み出し、日本経済を一層深刻な事態に追い込んでいる。
不況で税収減を招いているにもかかわらず、税制改正の流れは大企業、大資産家の優遇税制に終始している。結果として税収の空洞化を招き、広く薄く課税され、応能負担の公平性を破壊する流れになっている。ルールなきリストラ、社会保障制度の改悪により、雇用・所得の将来不安が高まっている。消費志向は益々低下し、今や貯蓄率すら急低下しているのが現状だ。
経団連の奥田ビジョンは改革停滞のあせりから、より一層“強者が市場で勝利するシステム”を作れと発破をかけた。だが、中小企業や国民へのセーフティネットが構築されず、益々倒産が増える中では、国民は安心して生活ができないことは明らかである。中小企業と地域が再生・復活する大胆な改革こそが将来不安を解消する。
総代会記念講演は、閉塞感溢れた私たちに時宜を得た問題を提起してくれるだろう。持続可能な平和・福祉・環境国家にするため、この悪循環を脱出し、人間回復のシステム構築が求められている。 |