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政府は、包括根保証制度を禁止する方向で立法作業を進めています。
そもそも根保証制度は、根抵当制度とも異なり法律の裏付けはありません。なかんずく包括根保証制度にいたっては、日本の銀行がユーザーを無条件で服従させるために編み出した慣行であり、先進国に例をみない蛮風です。銀行や裁判所は、法的裏付けのないことを、「法律が禁止していないから合法だ」といってきました。
包括根保証の典型は、金融機関に差し入れる「銀行取引約定書」の中で「保証人」として連署する場合です。
なお、この銀行取引約定書では、単に「保証人」と印刷されていても、商法511条によって連帯保証人と読み替えられるのです。
法制審議会保証制度部会が発表した「保証制度見直しに関する要綱中間試案」の柱は、@包括根保証の禁止、A根保証に、根抵当権にあるような元本確定請求権を認める、B根保証人に対して被保証債務を通知させる、などです。
銀行業界の声は、この見直しは、全体として「角を矯めて牛を殺す」(銀行の手足をしばれば円滑な融資ができなくなる)というものです。だから楽観はできません。
特に包括根保証の禁止には大反対。「中小企業経営者のモラルハザード歯止め策として、代表者、実務経営者等の無限責任体制は必要だ」という主張です。
銀行業界のこの主張の盲点は、諸外国には包括根保証の慣行は存在しないのに、モラルハザード問題が生じないのはなぜか、に答えられないことです。日本の銀行経営者は、事業再挑戦をモラルハザードとみる考えから脱していないのです。
むしろ、包括根保証以外の根保証制度が正式に法的裏付けを得ることになり、個人保証が銀行有利に強化される心配すらあります(例えばコヴェナンツ条項※強化という形で)。
保証制度全体の手足をしばるためには、法的規制と合わせて、ユーザー側の結束した活動が不可欠です。
※コヴェナンツ条項
融資契約における借入人の特別誓約事項。違反は融資契約上の期限の利益喪失事由となる。 |
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