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Q |
今まで、銀行からの一方的な金利引上げ要求に押されてきましたが、最近「銀行取引約定書」が改定され、銀行と対等に借り手からの金利変更申出がしやすくなったと聞きました。解説をお願いします。 |
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今月の相談員 |
中小企業診断士
中小企業組合士 |
伊藤 勝 |
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A |
銀行取引約定書(以下、「約定書」と言う)は、融資取引をする上で最も基本となる契約書で、取引開始時に必ず銀行に差し入れていましたが、内容の十分な説明もされず署名押印し、コピーも要求しなければ渡されないのが通例でした。
銀行トラブル多発以降、日弁連(*1)等各方面からの「銀行が一方的に優位な約定条項の適正化を求める声」に配慮し、平成12年に全国銀行の統一基準廃止後、信金を含む全金融機関が独自の約定書に全面改定しました。
中身は各行共、ほぼ同一で、対等性に配慮した条文ですが適正化とは言い難く、借り手は有利な条項を最大限活用していくことです。
借入金利の「変更申出権条項」に関して
旧約定書3条(利息・損害金等)の条項は、「@当初約束した金利等(*2)は、金融情勢の変化その他相当の事由がある場合は、一般に行われる程度のものに変更されることに同意する。A遅延損害金は年14%の割合とする」となっていましたが、新約定書は、「@金利等は、個別に合意した契約書に従うA金利等は、双方が一般に合理的と認められるものに変更することについて協議を求めることができる(旧は、一方的に変更を要求)と明記B借り手の財務状況の変化、担保価値の増減等により銀行の保全状況に変動が生じた場合も前項同様とする(新設)」と改定されました。(遅延損害金条項は不変)
この改定により借り手から変更を申し出る権利が明記され、銀行の一方的な変更の押付けは出来ず協議が原則になりました。新設の第B項は、借り手の財務内容の悪化、担保の減価を理由に銀行が変更を迫る場面を想定されているので、その際には金融庁の監督指針(*3)に基づく「納得のいく合理的な説明」を求めることも本条項を機能させる上で大事なポイントです。
尚、同指針では約定書の双方署名方式の採用またはその写しを交付するよう指導しているので、新約定書を入手し今後の交渉に備えましょう。
(*1) 日本弁護士連合会 平成8年に「銀行取引における消費者の権利確立を求める決議」で、@「約定書」を双方所持方式にA「約定書」の内容を顧客と対等・平等なものにと、強く要請していました。
(*2) 借入利息、割引料、保証料、手数料、精算金、違約金を指す。
(*3) 銀行に対し、「顧客保護のための与信取引に関する説明責任」を義務付けたもので、顧客に対し「金利見直し、返済条件の変更、増担保等の要請をする際には理解と納得を得る説明が必要」としています(銀行の対応が不十分な場合、罰則あり)。 |
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