信用補完制度(信用保証協会保証)の見直しによる利用者への影響 |
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Q |
信用保証協会の制度が抜本的に改正されると聞きましたが、概要がわかりましたら教えてください。
また、利用者への影響はあるのでしょうか? |
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今月の相談員 |
中小企業診断士
中小企業組合士 |
伊藤 勝 |
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A |
経済産業相の諮問機関である中小企業政策審議会の「基本政策部会」が、信用補完制度のあり方についての検討案を了承し、06年度からの実施が予定されています。
1.主な見直しのポイントは、
@全額保証から部分保証へ移行、A一律の保証料率から財務内容に応じた保証料率の導入、B保証対象にノンバンク関連会社融資を追加(本年8月一部施行)、C自治体独自の制度融資の縮小などです。
2.見直しの背景
当局によると、@信用補完制度全体が大幅な赤字構造となっている、A現行の全額保証や一律の保証料率がモラルハザードを引き起こす。リスクに見合った金利および保証料の徴収が経済合理的、B利用実績がない制度融資や事故率の高い制度融資は廃止を含めて見直す、などと説明しています。
3.予想される利用者への影響
@部分保証の本格的実施や保証料率の引き上げが実施されるとすれば、中小企業に対する金融の円滑化に大きく影響します。例えば、全額保証から8割保証になれば、2割は金融機関がリスクを負うことになるので、「貸し渋り」が強まることになります。又、利用する中小企業には「リスクに応じた金利・保証料」の過度な要求をされることが懸念されます。Aファイナンス会社等は、相当高い金利を設定しており保証対象にするのは馴染まないのでは。B自治体制度融資の縮小・廃止は、中小企業の振興と地域経済の発展を阻害するなど、弱い立場にある中小企業にとっては保証圧縮につながる恐れ大です。
4.求められる支援
「保証の圧縮」ではなく、申し込み条件の緩和、手続きの簡便化、返済条件の緩和、借換保証制度の継続も視野に入れた現制度の拡充と利用者の定性要因(経営者の資質、技術力、販売力等)を十分加味した審査による経営支援の強化が望まれます。
利用者としては、「経営自己診断システム」(運営:中小企業基盤整備機構*)を活用するなどして自社の強みと弱みを把握し、交渉に臨むことも肝要です。
*)「経営自己診断システム」
自社の財務データを入力するだけで、即時に財務状況と経営危険度を把握できるシステム。下記のホームページでご利用できます(無料)。 http://k-sindan.smrj.go.jp/crd/servlet/diagnosis.CRD_0100 本システムは、中小企業総合事業団等が業務統合により平成16年7月に発足した「独立行政法人中小企業基盤整備機構」が運営しています。 |
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