参与 田口 良一 祝経営研究所次長 最近の主な論文 「昔サラ金、いま国金」 (「別冊宝島」249号) 「『最低資本金』1千万円の無明」 (「世界」1996年5月号) |
(1) 景気の腰折れが心配されています。
消費税の引上げ以来、落ち込んだ個人消費が回復しないのです。
個人消費は、総務庁統計局が実施している家計調査によるもので、
世帯区分を勤労者世帯(構成比63%)と勤労者以外世帯(37%)とし、
前者については@常用労務作業者(21%)、A臨時及び日々雇労務者(−%)、
B民間職員(32%)、C官公職員(10%)と区分し、後者については
D商人及び職人(14%)、E個人経営者(2%)、F法人経営者(4%)、
G自由業者(2%)、Hその他、I無職、に細分されて調査が
続けられているものです。 (2) 総務庁は「平成8年の全国・全世帯の消費支出は、 1世帯当たり1カ月平均328,849円で、前年に比べ名目、 実質とも0.1%の減少となった。なお、全世帯の消費支出が実質で 4年連続、名目でも3年連続して減少となったのは、 現行の調査開始(昭和38年)以来初めてである」と発表していました。 中小企業の多くはこの個人消費に直接依存しています。 中小企業の景気後退は個人消費減退以前から始まり、 すでに6年目に入っているのです。今回の個人消費の一段の落ち込みは、 中小企業にとっては消費税増税と重なって二重の苦境なのです (なお上場企業は4年連続増益の見込み)。 (3) 個人消費が4年間(!)も減少続けるなか、 今年1月の国会では、景気対策をめぐる論議がありました。 中小企業の設備投資と個人消費の減退に目をつむったまま、 9兆円の増税を行うのでは景気に水をさし、 日本経済のかじとりを根本的にあやまらせるものだ、 という議論はあったのですが、かみ合わないまま予算(景気対策)は 通過してしまったのです。そして今なお政府は景気は着実に回復している、 との態度です。 個人のふところを冷やしたままで景気回復はあるのか、 という疑念が広がっています。何党によらず民生の安定を国政の 重大事として、今こそ国会で大いに論議し直してもらいたいものです。 |