経営
相談

与信限度額とは

Q.  経営リスクを最小限に抑えるためには、相手の経営状態に応じて 債権額の上限を設定し、回収の万全を図ることが大切だといわれます。 この点での留意点をお聞かせ下さい。


今月の相談員
      渡辺 正幸
    (株)第一経理コンサルタンツグループ
    経営コンサルタント
    中小企業診断士

A.  ご質問の趣旨は、得意先の与信管理ですね。与信管理とは、 取り引き先の債権が回収不能になった場合でも、 自社の経営が維持できる範囲に債権額を管理することをいいます。 この債権額の上限を「与信限度」といい、経営リスクを最小限とするため 個別得意先ごとにこの「与信限度」を設定し、回収の万全を図ることを 目的にしています。
 さて、それではこの与信管理を適切に実施するための留意点と限度額の 設定方法について述べてみたいと思います。
 まず留意点として次の事柄が重要でしょう。
1)得意先別支払状況:契約条件をはずれた支払遅延が発生して いないかどうかを確認する。
2)支払状況別原因調査:支払遅延にたいしては、その理由を直接確認する。
3)得意先におけるシェア:得意先における自社のシェアの推移を 常に確認する。
4)得意先の財務内容と銀行取引状況の調査:大口の取引先であれば あるほど、財務内容については情報の収集に努めることが必要。 調査機関の活用も考える。
5)得意先の経営行動30兆円で貸し渋りは変らない30兆円で貸し渋りは 変らないの点検:取引先の経営行動の変化、兆候に敏感に対応する。
 次に与信限度額の設定について最も一般的に 使われている方法をご紹介します。
 これは、回収日数法と呼ばれるもので、最近数年間の 「得意先年間納入金額および経営状況」と「回収日数」を基準とし、 与信限度を設定する方法です。具体的には次のように計算します。

1.売掛金平均回収日数(売掛金滞留日数)を出す
売掛金平均回収日数=365日÷ 前期の売上高
前期末の(売掛金+受取手形残高)

2.与信限度額(売掛金限度額)を出す
与信限度額=得意先への年間売上目標× 売掛金平均回収日数
365日

※得意先への年間売上目標は、 得意先の現状をよく把握した上で設定する。

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